(統一日報 2024.11.20.付)
NPO法人「安房文化遺産フォーラム」は9日、千葉県館山市で「ハングル『四面石塔』400年記念コンサート&シンポジウム~平和への祈り」を開催した。第3次朝鮮通信使を契機に建立された「四面石塔」を記念したこのイベントを通じて、これまでの韓日親善の歴史を振り返る。
■ 韓日親善の歴史を回顧
NPO法人「安房文化遺産フォーラム」(愛沢伸雄·池田恵美子共同代表)は9日、館山市の浄土宗大巌院(石川龍雄住職)で四面石塔の見学会と奉納コンサートを開催。同市の南総文化ホールで歴史シンポジウム「四面石塔の謎をさぐる」を行った。計230人が参加した。
千葉県指定有形文化財として大厳院に現存する「四面石塔」には、和風漢字·中国篆字·印度梵字·古ハングルの4種の文字で「南無阿弥陀仏」と彫られている。東面に刻まれた初期ハングル字体(『東国正韻』式の字形)が特徴的で、韓国でも初期ハングルで刻まれた石碑は極めて少ない。
大蔵院は雄誉霊厳(おうよ·れいがん、1554~1641)上人によって1603年に開かれた。「四面石塔」は24年に境内に建立。同年に行われた第3次朝鮮通信使までは、豊臣秀吉による出兵の戦後処理、韓半島との交流促進(再開)を目的にしていた。江戸幕府は事業を主導し、日本に連行された半島の人々の送還を行った(回答使兼刷還)。
「四面石塔」には、当時を生きた人々の平和への祈りが込められている。
■ 大厳院でコンサート開催
講演に先立ち、安房文化遺産フォーラムの池田共同代表は「四面石塔」についての説明を行った。大巌院本堂に入ってすぐ正面真上に掲げられた扁額は「位の高い人しか書けない文字」で、朝鮮通信使関係者がその筆跡の美麗さを称えた逸話が残っていると紹介。大蔵院の石川住職も共催者としてあいさつした。
その後、在日2世の李政美さんがピアニストの竹田裕美子さんと共演し、奉納コンサートを行った。李さんは両親が済州島の出身で、長兄が館山からも近い鋸南町の保田に住んでいた関係で、海にゆかりのある曲「セノヤ」などを披露した。
■ 南総ホールで歴史シンポ
南総文化ホールでは、シンポジウム「四面石塔の謎をさぐる」が開かれた。
はじめに池田·愛沢共同代表が主催者あいさつを行った。次いで、早川正司·房総石造文化財研究会会長が「『四面石塔』についての回想と所見」、石川達也·大巌院副住職が「雄誉霊巌上人の生涯」、滝川恒昭·敬愛大学教授/里見氏研究会会長が「雄誉霊巌と里見氏」、永測明子·韓国語講師(翻訳家)が「『四面石塔』から日韓の架け橋に」と題して発表。最後に、愛沢共同代表が「大巌院ハングル『四面石塔』の謎をさぐる」をテーマに講演した。登壇者全員によるディスカッションの場も設けられた。
それぞれの講演では、雄誉霊巌上人の生涯や事績の紹介、「四面石塔」に刻まれた文面から浮かび上がる韓日関係史の考察などが行われた。
講演会に参加した河正雄·光州市立美術館名誉館長は、「奇しくも来年は、戦後80年·韓日国交正常化60周年を迎える。その前年に、今日のイベントが開催されたのは実に喜ばしい。漢字·篆字·梵字·ハングルで刻字されている『南無阿弥陀仏』は 国際平和のメッセージと言える。改めて、『四面石塔』の持つ平和の意味を深く考える時代になることを祈念している」と語った。
石井浩己·館山市教育委員会教育長は、「安房文化遺産フォーラムは館山にとって大 切な活動を進めてくれている。海を通じた交流はこの地に根づいた文化の最も象徴的なもの。今日のような集まりを機会に、これから韓国との友好がより広まっていくことを期待している」と述べた。
「六軒町のサイカチの木」が強風で損傷
16日に樹木医が補修方法など検討へ
(房日新聞 2024.11.12.付)
館山市北条の「六軒町のサイカチの木」が9月、強い風のため根っこの際の部分に亀裂が入り、傷ついた。このため、県樹木医会のメンバーが、16日に現場で状況を確認して補修の必要性など、今後の方策を検討することになった。保護活動にあたる団体は同じ日に、この木から接ぎ木した苗木を市内の城山公園に定植。数々の逸話に彩られる木の存在を多くの人に知ってもらい、伝承活動につなげたい考えだ。 続きを読む »»
「四面石塔」建立400年
記念行事に230人
(房日新聞 2024.11.12付)
館山市大網の浄土宗寺院、大巌院境内にある「四面石塔」が建立されて今年で400年になるのを記念する行事が9日、同寺院などで行われた。
同市のNPO法人安房文化遺産フォーラムが主催した。午前の第1部では、四面石塔の見学会があり、同NPOの池田恵美子共同代表が、四角柱の石塔の四つの面に、インドの梵字、中国の篆字、朝鮮半島の古いハングル、日本の古い漢字で、「南無阿弥陀仏」と彫られていることや、今は韓国でも使われていないハングル文字がなぜ刻まれているのか、謎であることなどを説明。江戸時代に朝鮮半島から渡ってきた海女たちの墓が鴨川市の山中に残っているなど、朝鮮半島と今の南房総地域との結びつきについて紹介した。本堂では、在日コリアン2世の歌手、李政美(イ・ヂョンミ)さんによるコンサートも行われた。
午後からの第2部では、「四面石塔の謎をさぐる」をテーマにした研究者らによるシンポジウムがあり、大巌院を開いた江戸時代初期の高僧、雄誉(おうよ=1554~1641)の足跡や功績、今も残る雄誉と関わりのある国内各地の寺院などについて解説した。
同NPOによると、1、2部合わせて延べ約230人が参加した。
刻まれたハングル 梵字 篆字 漢字
幕府の朝鮮外交と関連? 平和祈願?
館山の謎 四面石塔 建立400年 記念シンポ
(東京新聞 2024.11.7.付)
館山市大網の浄土宗大巌院にある県指定有形文化財「四面石塔」が建立されて今年で400年。珍しいハングル旧字体も含め4種類の文字で各面に「南無阿弥陀仏」と刻まれている。江戸幕府の朝鮮外交や平和祈願との関わりも推察されており、9日に記念の歴史シンポジウム「四面石塔の謎をさぐる」が南総文化ホール(同市北条)で開かれる。
(山本哲正) 続きを読む »»
ハングル「四面石塔」400年・平和への祈り
NPO法人安房文化遺産フォーラム 代表 愛沢伸雄
(房日新聞 寄稿 2024.11.7.付)
県立高校の世界史教諭として、地域の戦争遺跡や文化遺産を活用し、授業づくりに取り組んでいた私が、教育支援とまちづくりのNPOを設立して20年を迎えた。近年は、心臓病と頸椎の難病で療養中のためご心配をおかけしているが、長きにわたりNPO活動を理解し支援してくださった皆々様に、この場をお借りし改めて御礼を申し上げたい。
私がもっとも大切に扱ってきた地域教材の一つは、浄土宗大巌院にある「四面石塔」という千葉県指定有形文化財である。和風漢字・中国篆字・印度梵字・朝鮮ハングル旧字体で「南無阿弥陀仏」と刻まれている。 続きを読む »»
江戸時代の高僧・雄誉の書刻んだ木版彫り念仏か
館山の旧家で伝承
(房日新聞 2024.11.5.付)
館山市大網の大巌(だいがん)院を開いた江戸時代初期の浄土宗の高僧、雄誉霊巌(おうよれいがん=1554~1641=)の書と伝わる念仏を刻んだ「名号本尊」(みょうごうほんぞん)と呼ばれる木版彫りが、同市加賀名の平嶋家で代々伝承されていることが、同市のNPO法人安房文化遺産フォーラムの調査でわかった。平嶋家には、雄誉を幼少期から子ども期にかけて育てた、との言い伝えがあり、同NPOは、修行を経て僧となった雄誉が、育ててもらったお礼に念仏を書にしたため、平嶋家に贈った可能性があるとみている。
(斎藤大宙) 続きを読む »»
秀吉の朝鮮侵略後、平和を願った供養塔
ハングル「四面石塔」400年記念 コンサート&シンポジウム
(東洋経済 2024.11.1)
平和のメッセージを伝える「四面石塔」
(東洋経済 2024.11.8.)
千葉県館山市の浄土宗大巌院にあるハングルが書かれた「四面石塔」(千葉県」指定有形文化財)は、豊臣秀吉の朝鮮侵略と関連した平和祈願をこめた供養塔と推測される。400年前の先人に思いを馳せ、東アジア世界お善隣友好を育むイベント「ハングル『四面石塔』400年記念コンサート&シンポジウム」が9日、千葉県館山市の浄土宗大巌院で行われる。 続きを読む »»
〝戦雲〟というには、戦の到来を告げる不運な雲と言う意味で、〝いくさふむ〟と読むのは沖縄の方言。
石垣島・与那国島・宮古島など、台湾に近い島々が舞台のドキュメンタリー。
安房地域上映実行委員会の渡邉むつみさんは、沖縄県黒島という小さな島の出身。沖縄戦は他人事ではない!と、NPO法人安房文化遺産フォーラムの会員でもあって、平和社会の構築に尽力しています。房日新聞の寄稿もご一読ください。
*11/2(土)9:30~/13:30~
南総文化ホール 大会議室
*11/24(日)9:30~/13:30~
南房総市三芳農村改善センター
<知恵袋講座は、NPOメンバーが講師となって、楽しく学び語り合う茶話会です。>
テーマ:千倉とアワビとハリウッド
語り手:鈴木政和 (NPO副代表)
日時:2024年9月29日(日)13:30~16:00