持続可能なまちづくり

◆「持続可能な社会」という考え方 ◆

「持続可能(サスティナブル)」という言葉をよく耳にするようになりました。これは、今の社会が「持続不可能」であると、広く認識されたことの反映といえるでしょう。「持続可能」というと、自然環境と開発問題やエネルギー資源問題と捉えられがちですが、歴史・文化遺産の保存・活用を提言、実践してきた私たちNPOにとっても、重要な視点です。

国連は深刻な地球環境を受け止め、2005年から2014年を「持続可能な開発のための教育の10年」と定めました。「持続可能な開発」とは、「民主的で誰もが参加できる社会制度と、社会や環境への影響を考慮した経済制度を保障し、個々の文化の独自性を尊重しながら、人権の擁護、平和の構築、異文化理解の推進、健康の増進、自然資源の維持、災害の防止、貧困の軽減、企業責任の促進などを通じて、公正で豊かな未来を創る営み」と定義されています。

〝環境の開発か保全か〟に代表されるように、相反する価値観のいずれかだけを選択肢とするのではなく、「持続可能」という視点から多様な価値観を認め合いながら、新たな選択肢を見出すことは可能でしょうか。世界中の人々や将来の世代にわたって安心して暮らすことのできる社会を目ざし、各地で広がっている市民活動は壮大な試みです。

“サスティナブル(sustainable)”を直訳した「持続可能」とは日本語として馴染みにくい言葉ですが、その語源はラテン語の“sustain”=「下から支える」という意味があるようです。持続可能性を「社会を下から支える能力」と捉えれば、まさに“市民が主役のまちづくり”と考えられます。

◆ SDGs(エスディージーズ)とは

「SDGs(エスディージーズ)」とは「Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標」の略です。2015年9月に行われた国連サミットにて加盟国全会一致で採択され、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標です。17のゴールと169のターゲットから構成されており、地球上の誰一人取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。発展途上国だけではなく、先進国が取り組むユニバーサルなものであり、日本も積極的に取り組んでいます。

私たちNPOでもこれに賛同し、国内活動にとどまらず、ウガンダの支援交流や、日米・日韓の歴史交流をおこないながら、目標達成を目ざしています。

 

◆「平和の文化」という考え方 ◆

東西冷戦構造のもとで展開していた軍拡競争の流れが変わった90年代に、UNESCOを中心として理論的実践的に育まれた「平和の文化=Culture of Peace 」という考え方があります。

「平和の文化」とは、人間も動物も含めたあらゆる生命を傷つけたり奪ったりしない、そのために争い・対立を暴力によってではなく、対話によって解決していくという考え方、生き方、伝統のことをいいます。

この流れを受けて、国連は2000年を「平和の文化国際年」と宣言するとともに、21世紀の世界に平和の文化を実現するため、2001〜2010年を「世界の子どもたちのための平和と非暴力の文化国際10年」と定めました。

UNESCOやUNICEFなどの国際機関、世界各国や日本のNGO・NPOや個人が、「平和の文化」を日常の行動様式や政治経済システムのなかに実現すべく多様な活動を続けています。

 

◆「創年」という考え方◆

地域において住民ひとりひとりがもつ体験や知識・技能を活かし、地域課題の解決につながるような市民活動が重要です。全国生涯学習まちづくり協会福留強理事長は、特に高齢社会において生涯現役で、生きがいをもって社会貢献活動に参画する市民を「創年」と定義し、まちづくりの担い手として期待されています。

NPO安房文化遺産フォーラムではこれらの考え方に賛同し、文化遺産の保存と活用に関わる社会活動に創年が参画することを通じて、生きがいと夢の自己実現を図るとともに、交流人口の拡大〜経済の活性化〜雇用の創出を目指し、地域課題解決の一助としたいと考えています。

また、各地で医療崩壊が進行する昨今、医療従事者と市民がともに学び、語りあう場として、「安房の地域医療を考える市民の会」を開催しています。

◆◆このような理念に学びながら、安房地域において下記のような地域づくりに取り組んでいます。

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知恵袋講座
◎ 知恵袋講座は、知識や経験豊富なNPOメンバーが講師となって、楽しく学び語り合 […]