第3章:子どもたちの小さな戦争

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ほしがりません 勝つまでは

僕ら お国の少国民

お国のために はたらきます

今日も 一日軍事教練

 

おなかがすいた 疲れたよ

だけど僕らは がんばるよ

子守しながら 石けり お手玉

チャンバラごっこや 兵隊ごっこ

 

(訓導)

さぁ、桟橋にならんで。ひきを集めるぞ。

たくさん集めたら成績をよくしてやるからな。

釣竿に魚の頭をつけたかな。

 

(子どもたち)

はぁい。

 

外は電灯ともせない 光のない暗い夜

薄暗い灯りの下で

息をひそめて 暮らしてる

 

明るい光は みんなの憧れ

生きものたちも 水と光を

求めて生きている

 

(子どもたち)

うわぁ、きれいだなぁ。

すごいなぁ。

明るいなぁ。

・・・・・・

 

ウミホタルを手のひらにのせる

青い光のしずく 暗闇の中の

鮮やかな色 鮮やかな光

なんて明るいのだろう

なんて不思議な色だろう

心に 光があふれてくる

心に 生きる力があふれてくる

 

(訓導)

さぁ、このバケツに入れて。

乾燥させ、すりつぶして 戦地に送る。

死んでも 水につければ光るそうだ。

 

すりつぶすのは かわいそう

家で明かりにしたい

本が読みたいよ

光の中で暮らしたい

 

(子どもたち)

そうだ、逃がしてやろうか。

うん。

 

(訓導)

こら、何をするか。

ばかもん。非国民。

お国のウミホタルだ。

 

海沿いの村の 子どもたちの

小さな戦争でした