お知らせ

【房日】190815*館山の山口栄彦さん、終戦記念日のつどい

少年の目で見た戦争 毎年「終戦記念日のつどい」企画

館山の山口栄彦さん 史実の掘り起こしも

(房日新聞2019.8.15付)‥⇒印刷用PDF

太平洋戦争末期の硫黄島出撃について、海軍の人事は厳正であったと述べている本があるが、事実と違うのでは?——。少年のころ、身近にあった海軍砲術学校で見聞きした出陣学徒関係の実態から、市民の目線で真相を知りたいという男性がいる。自身は旧制中学3年生で終戦を迎え、出征したわけではないが、自分で見聞きした事実を伝えなければならないとして、ここ数年は8月15日に小さな「つどい」の場を設けている。市井の少年の目で、あの戦争を振り返る日々だ。(忍足利彦)

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「軍都・館山の歴史が、複雑な気持ちにさせる。
それでも一市民として平和を祈る」

館山市の山口栄彦さん(89)。富崎村(当時)布良に生まれた。銀行員だった父の次男で、安房中へ通った。当時の館山エリアは館山砲術学校、館山航空隊、洲ノ埼航空隊などが置かれ、軍都として発展した。

神戸村に置かれた砲術学校には、学徒出陣した学生らが大勢住み、子どものころから身近な存在だった。

村の有力者から「えいひこ」と呼ばれていた山口さんは、その有力者の使いで、砲術学校に出入りしたこともあった。そうした環境で見聞きしたのは、硫黄島へ出陣する船に乗った水兵がたった1人だけ、直前の下船命令を受けて、玉砕の島へ行かずに済んだこと。地元有力者と海軍上層部とのつながりがほのかに見え、戦後も史実の掘り起こしなどに注力した。

最近読んだ館山砲術学校兵科4期の男性の著書で、「硫黄島赴任で、海軍の人事は厳正であった」と書かれていたことから、下船命令の事実が脳をよぎった。本当に厳正だったのか、と。きょう15日午後1時半から、富崎地区公民館で開く「終戦記念日のつどい」で、「生き残った水兵」のタイトルで語り合うという。(会費200円)

15歳で迎えた終戦。自身は戦後、進駐軍に勤務した。苦学して大学を卒業し、身に付けた英語で中学校の英語教員になった。東京や神奈川の勤務が長く、故郷・富崎のことは長く、心の中にあった。

定年後は故郷に戻り、砲術学校を中心とした海軍の歴史を掘り起こした。戦争に行っていない自分が、海軍のことを調べていいのかという葛藤もあったが、子どものころからそばにあった砲術学校を語らずにはいられなかった。

昭和20年7月の白浜への艦砲射撃で、布良の自宅がぐらぐら揺れたことは忘れられない。もし、ポツダム宣言受諾がもっと遅くなったら、房総半島にも米軍が上陸し、自分の命もなかったと思う。

それでも山口さんは「反戦の思い」を強く掲げられずにいる。兵役の経験がない上に、砲術学校の訓練を毎日、目の前で見てきた。少年とはいえ、日常生活で戦争を肯定していた傾向がある。しかし、何年か戦争が長引けば、自身も出征していた。身近にある軍都・館山の歴史が、自身を複雑な気持ちにさせている。

それでも、きょう15日の終戦の日は、市民の立場で平和に思いをはせ、哀悼をささげたいという。

【写真説明】砲術学校兵科4期の男性の著書を読む山口さん=館山の自宅で

【ちいき新聞】190802*ウミホタルの光に平和の祈りを込めて

ウミホタルの光に平和の祈りを込めて

軍事研究されたウミホタル

(ちいき新聞2019.8.2付)‥⇒印刷用PDF

東京湾アクアラインのPA名でなじみ深いウミホタル。実は第二次世界大戦中、ウミホタルの光を軍事利用する研究がされていたのだ。館山で発見され明らかになった史実とは。

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ウミホタルの発光特性に着目した陸軍

夜の海を幻想的な光で輝かせるウミホタル。カニやミジンコと同じ甲殻類で、砂の中に住む体長3ミリ程の夜行性生物だ。刺激を受けると発光酵素を放出し、これが水中の酸素に反応し青白く光る。ウミホタルはこの光を外敵の目くらましや、仲間とのコミュニケーションに使う。ウミホタルに似た動物性プランクトンの夜光虫や、ホタルなどの発光生物が生きている間光るのに対し、ウミホタルの体内にある発光酵素は、水をかければいつでも反応する。第二次世界大戦中、日本軍はこのウミホタルの発光特性に着目した。ウミホタルを乾燥してすりつぶした粉末を兵隊に持たせて、戦地で水や唾液で発光させ、照明や仲間との連絡、また特攻機が夜間敵艦隊に体当たりするための照明弾として使えないかと考えたのだ。

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子ども達の勤労動員でウミホタル採取

軍は研究用ウミホタルの採取地として、世界有数の生息地千葉県館山を選んだ。地元でもほとんど知られない存在だったウミホタルは、軍の命令を受けた子どもたちによって採取されたという。この史実は、教材づくりのために戦争遺跡の調査に取り組んでいた高校世界史の愛沢伸雄教諭(現NPO法人安房文化遺産フォーラム代表)によって明らかになった。

愛沢教諭は旧制安房中学校(現県立安房高校)の教務日誌の勤労動員作業記録に「海蛍採集」の記載を発見。生物の教師や当時の生徒たちに聞き取り調査をおこない「夜の浜に集合して魚のアラなどを括り付けたものを桟橋から垂らし、ウミホタルを採取して軍に供出した」という証言を得た。

戦後50年の平和祈念事業でウミホタル発光を紹介したことがきっかけとなり、現在の館山ではウミホタル鑑賞が人気である。戦後60年には、この史実を基にした合唱組曲『ウミホタル〜コスモブルーは平和の色』が誕生し、全国で歌われるようになっている。明るく輝く美しい光を、悲しい青に染めてはならない。(花)

【取材協力】NPO法人安房文化フォーラム

【エコレポ】館山まるごと博物館005=ピースツーリズム〜本土決戦と「平和の文化」

連載コラム「館山まるごと博物館」

[005]

EICネット「エコナビ」一般財団法人環境イノベーション情報機構

‥⇒リンクはこちら

・第二の沖縄戦にそなえて

・花作り禁止令

・火薬原料の海藻採取

・ウミホタルの軍事利用

・館山の平和祈念像

‥⇒シリーズ一覧

【房日】190814*平和のための美術展

平和のための美術展、76人の芸術家が出品へ

8月24日から枇杷倶楽部

(房日新聞2019.8.14付)‥⇒印刷用PDF

芸術をとおして平和の尊さを訴える「ART FOR THE EARTH2019—第15回安房・平和のための美術展—」が、24日から9月1日まで、南房総市富浦町の枇杷倶楽部ギャラリーで開催される。今年も絵画、工芸、写真、彫刻などジャンルを超えて、地域にゆかりのある76人の芸術家たちが出品。多くの来場を呼び掛けている。

芸術家たちが、「平和のために何かできるだろうか」と、有志で実行委員会を組織し、05年から始めた。出品者の協力でチャリティーも行われ、グッズなどを販売し、収益金はアフリカ・ウガンダ支援や震災復興、地域の各団体などに役立てている。問い合わせは、事務局の橋本さん(0470—29—1290)へ。

 

⇒公式サイト:http://www.awa-heiwaten.jpn.org/

 

▼出品者は次のとおり。=順不同、敬称略

愛沢伸雄、朝倉曉、有坂多絵子、飯島眞澄、飯田真菜美、石井純、石井範子、石川武雄、伊藤誠子、今井香、今井俊、今泉俊一、植松七重、鵜澤貫秀、大久保敏之、岡安俊夫、重栖和子、加藤良江、鎌田英雄、鎌田真由姫、川尻泰造、川田正孝、木曽富美子、吉良康矢、クリシュナ智子、小出一彦、小林佳奈、坂田仁、坂本一樹、坂本真彩、笹子三喜男、笹生雄太、鈴木百合香、Jun、高橋邦子、高橋猛、高橋文子、田嶋初、田村洋子、出口惠里子、豊田洋次、戸沼誠治、Tonman、仲野邦男、西山正彦、根上曜子、白熊勝美、橋本登、橋本まち子、橋本芳久、早川厚子、原久彌、桧山薫、ひやまけいこ、平澤とみ子、廣井鏡子、福嶋洋子、福田圭介、船田正廣、古江睦子、前川章子、真魚長明、松浦健二、溝江晃、溝口七生、三森義久、水上順義、宮下昌也、望月純、谷貝順子、谷貝宗平、山内新、山口マオ、吉川恵美子、脇山久子、渡辺泰徳

 

「ART FOR THE EARTH2019
—第15回安房・平和のための美術展—」

日時=2019年8月24日〜9月1日
会場=枇杷倶楽部ギャラリー

入場無料

【読売】190814*ちばアート祭きょうから

ちばアート祭きょうから  県立美術館など

(読売新聞千葉2019.8.14付)

2020年東京五輪・パラリンピックを見据えて県の文化的な魅力を発信しようと、県は14日から、千葉市中央区の県立美術館と千葉ポートパークで「ちばアート祭」を開く。初の試みで、アート展示のほか、「ちば文化資産」をテーマにした写真や絵の展覧会も行われる。25日まで。

ちば文化資産は、次世代に残したい祭りや建造物など計111件。県が昨年、県民投票の結果などを踏まえて選んだ。

県立美術館では、県が今年2〜5月にちば文化資産をテーマに募集した写真や絵画約550点が展示される。県内の学生が制作し、光や音の変化を楽しめる芸術作品も展示される。

千葉ポートパークでは、LEDを使った作品が並び、夜間にライトアップされる。

入場無料。県立美術館は19日休館。ライトアップは期間中の各日午後6時〜同8時50分。問い合わせは運営事務局(03・4580・9117)へ。

 

※「ちば文化資産」とは、千葉県の文化や魅力を特長づけるモノやコトとして

青木繁「海の幸」記念館・小谷家住宅はじめ111件選定している。

‥⇒公式サイトhttps://www.chiba-art2019.com/

190814-25*ちばあーと祭2019

ちばアート祭2019

[@公式サイト]‥⇒[@印刷用PDF]

日時=2019年8月14日(水)〜8月25日(日)
会場=千葉県立美術館・千葉ポートパーク

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*絵画・写真公募展=テーマ「ちば文化資産」
‥青木繁「海の幸」記念館・小谷家住宅

【毎日】190812*謎に包まれた要塞、赤山地下壕跡

戦跡を訪ねて2019

謎に包まれた要塞、赤山地下壕跡

(毎日新聞2019.8.12付)‥⇒印刷用PDF

館山市の中心部から南西に約3キロ、館山湾に面した海上自衛隊館山基地の南に赤山はある。その標高61メートルの小高い丘にトンネルを縦横に掘って地中要塞が築かれた。旧海軍館山航空隊の赤山地下壕跡だ。現在は年間3万人を超える見学者が訪れ、地域の「平和教育」の拠点となっているが、掘り始めた時期や狙いといった軍の記録は一切残っていない。多くの謎に包まれている地下壕に足を踏み入れた。

アーチ状のトンネルに入ると、連日の暑さを忘れるひんやりとした別世界。電球が茶褐色の壁面を照らす。ツルハシによる素掘りの跡がそのまま残っている。天井の高さは2〜4メートル。付き添いのガイドの説明によると、入り口近くにある広間はディーゼル発電機を置いて発電室として使われていた。そこから枝分かれするようにトンネルの回廊が続く。

並行する3本の主通路と、それを網の目状に結ぶ連絡通路。総延長は約1.6キロとされるが、一般開放されているのは照明設備が整った250メートル部分だ。

これほど大がかりな地下壕でありながら、戦後60年あまり、市や地元の人たちに「中に入るのは危ないから」と放置された。その間、県外出身の二人が地下壕の保存に貢献していた。

一人は1960年ごろから壕の入り口に「向後種菌研究所」の看板を掲げ、約40年間も壕内に住み、キノコ類を栽培していた向後精義さん(2001年死去)。茨城県出身で旧日本海軍の「731部隊」(関東軍防疫給水部)に所属していたとされる。もう一人は、北海道出身で館山の高校で社会科教師を務めていた愛沢伸雄さん(67)。戦争遺跡の調査の一環で90年代初めに地下壕に足を踏み入れ、向後さんと出会った。「最初は『勝手に入るな』と怒られたが、向こうも許可を取っているわけではないから、打ち解けることができた」と振り返る。

やがて愛沢さんの調査によって戦跡としての評価が高まり、市は02年に壕の内部を初めて調査。その3年後に史跡に指定した。

現在、NPO「安房文化遺産フォーラム」代表をつとめる愛沢さんは「今わかっている赤山地下壕跡は全体のほんの一部。道路を隔てた東側と旧洲ノ埼航空隊の隣接地には、より大規模な地下壕がある」と指摘する。

気の遠くなるほどの人手と労力をかけたであろう赤山地下壕跡。軍はどこから大量の作業員を集めたのか。トンネルを出て、夏の暑さを感じながら、当時の光景を思い浮かべた。

【中島章隆】

 

◇ ◇

終戦から74年。戦禍を体験した人は年々少なくなっているが、各地に今も、戦争の記憶をとどめている。関東各地の戦跡を巡り、苦難の時代を追憶する。=随時掲載

 

【アクセス】

赤山地下壕跡(館山市宮城)へは、JR内房線館山駅から日東交通の館山航空隊行バスに乗り、宮城バス停下車、徒歩3分。毎月第3火曜日休み。入壕料は一般200円、小中高生100円。問い合わせは豊津ホール(0470-24-1911)。

⇒館山市

 

【赤山地下壕跡】
・NPO⇒ https://awa-ecom.jp/bunka-isan/section/marugoto-010-010/
・館山市HP⇒https://www.city.tateyama.chiba.jp/syougaigaku/page001892.html
【房日】190810*館山の戦争遺跡、2代目三平さん出演

館山の戦争遺跡放送

2代目三平さん出演、12日にBSフジで

(房日新聞2019.8.10付)‥⇒印刷用PDF

BSフジの終戦74周年特別番組「落語家たちの戦争〜禁じられた噺(はなし)と国策落語の謎」で、館山の戦争遺跡などが紹介される。放送は12日正午からの予定。

太平洋戦争中、戦意高揚にそぐわない落語は禁じられ、軍の意向に沿う国策落語だけが口演されたという。笑いと戦争、表現の自由と自粛について考察していく番組。2代目林や三平さんが、国策落語を再現口演するとともに、館山の戦争遺跡を訪れる。

父である初代林家三平さんは、戦争末期の本土決戦に備えた特攻要員として、九十九里浜で蛸壺(たこつぼ)や塹壕(ざんごう)を掘っていたという。

NPO法人安房文化遺産フォーラム、池田恵美子さんの案内で、砲台跡や弾薬庫跡、蛸壺などをめぐる予定。

 

番組サイト⇒http://www.bsfuji.tv/kokusakurakugo/pub/index.html

【BSフジ】190812*林家三平師匠が館山の戦跡を巡ります。

終戦74年特番『落語家たちの戦争』

林家三平師匠が館山の戦跡を巡ります。

房日新聞

・日時=2019年8月12日(月)12:00〜13:58
・放送局:BSフジ
・番組名:『落語家たちの戦争〜禁じられた噺と国策落語の謎』

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戦時中、戦意高揚にそぐわない落語は禁じられ、軍の意向に沿う国策落語だけが口演されたという。笑いと戦争、表現の自由と自粛について考察していく。番組では、二代目林家三平が、国策落語を再現口演するとともに、館山の戦争遺跡を訪ねる。

父である初代林家三平は、戦争末期の本土決戦に備えた特攻要員として、九十九里浜で蛸壺や塹壕を掘っていたという。

特攻要員とは、資材不足で特攻兵器がなくなり、蛸壺や塹壕で身を隠して待機し、敵が上陸してきたら爆薬を抱えて突撃する攻撃隊のこと。

NPO法人安房文化遺産フォーラム池田恵美子さんの案内で、館山の砲台跡や弾薬庫跡、蛸壺などをめぐる。

 

愛沢代表、療養のお知らせ

NPO法人安房文化遺産フォーラム代表の愛沢伸雄が、

このたび病気療養につき入院しております。

本人からの動画メッセージを下記よりご覧ください。

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7/29心筋梗塞で緊急入院し、8/15心臓冠動脈バイパス手術、8/27退院しました。皆様の温かい励ましに感謝しております。すぐに仕事復帰というわけにはいかず、しばらくは安静に自宅療養となります。まだ体力が整わないため、自宅へのお見舞いもご遠慮させていただいておりますことをご理解いただけますようお願いいたします。


何かあれば、NPO事務局(090-6479-3498)にご連絡ください。

退院後に皆様にお会いできるのを楽しみにしています。