【房日】230426*アワビがつなぐ日米交流

房日新聞 /⇒ 印刷用PDF

明治期に房総から渡米しアワビ事業を行った、南房総市白浜町根本出身の漁師、小谷源之助の子孫ら4人が21日、一族のルーツを求めて米国から来房。館山・南房総副市長への表敬や地域のアワビ移民の研究団体と交流を図り、房総での先祖の暮らしぶりに思いをはせた。

小谷源之助は、明治期に弟・仲治郎と米・カリフォルニアに渡り、モントレー湾で器械式潜水によるアワビ漁事業を行い、アワビの缶詰、ステーキなどでアワビを広め、米の食文化に影響を与えた。

今回訪れたのは、カリフォルニア在住の源之助の孫、ミア・コダニさん、夫のグレンさん、ミアさん夫婦の友人で母親が南房総市出身のアユミ・ミヤザキさん、ハワイ在住の源之助のひ孫のアリエル・ステネックさんの4人。

ミアさんらは、昨年2月にオンラインで開かれた房総アワビ漁師移民研究の日米調査報告会(安房文化遺産フォーラムなど主催)に参加したのをきっかけに、「先祖、源之助の暮らしぶりなどのルーツをたどろう」と来房した。

館山市の渚の博物館を訪問した一行は、館内に展示されている器械式潜水器具、万祝などアワビ漁に関連する資料について、市職員の説明を受けながら見学。その後、南房総地域で房総アワビ漁師移民について研究している、安房文化遺産フォーラムの会員らと交流した。

会員らは「小谷兄弟は、無計画で渡米したわけではなく、しっかりとした計画があって海を渡った。2人のうち源之助は事業家的な役割で、仲治郎は学者的な役割があった」などと研究の成果を報告。

話を聞いたミアさんは「館山に来たことで、これまで知らなかった新しい発見や意外な一面を知られて良かった。この後さっそくファミリーに報告したい」と話していた。

一行は、22日には白浜と千倉にある先祖の墓参りとゆかりの地などを巡り、房総を後にした。