「噫(ああ) 従軍慰安婦」石碑
1965(昭和40)年、深津文雄牧師は、社会から見捨てられた女性たちが一生安心して暮らせる婦人保護施設「かにた婦人の村」(かにた村と略)を設立した。
1984(昭和59)年、一人の寮生が自ら従軍慰安婦体験を牧師に告白する。この告白「石のさけび」を受けて、施設内にある小高い丘に1本のヒノキの柱を建てたのは「戦後40年」のことだった。翌年そこには、「噫(ああ)従軍慰安婦」と刻まれた石碑が建立された。
「韓国挺身隊問題対策協議会」の代表ユン・ジョンオクさんは、1980(昭和55)年より、北海道・沖縄・タイ・ラバウルの朝鮮人慰安婦の足跡を訪ね、1988(昭和63)年8月の来日の際にこの石碑を訪れた。
これが、韓国KBSテレビによるドキュメンタリー番組『太平洋戦争の魂〜従軍慰安婦』の制作を生み、韓国内はもちろん諸外国にも大きな世論を巻き起こしていった。
戦争責任があいまいなまま半世紀以上が過ぎ、現在もなお、従軍慰安婦問題はアジア各国を巻き込む論争となっている。この石碑を通じて、地域から世界を見ることができる。
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【注意】
※NPO法人安房文化遺産フォーラムのスタディツアー参加者のみ見学が許可されています。無断で施設内に立ち入らないようご協力お願いします。
【関連報道】
*2021.1.18東京新聞「にっぽんルポ・かにた婦人の村」
*2020.8.19 HUFFPOST 「日本で唯一の婦人保護長期入所施設・かにた婦人の村を訪ねて」
*2019.10.20 クリスチャン新聞「台風被害の館山と「かにた婦人の村」の歴史、営み 個性を尊重する“村人”の文化」
*2018.8.27. NHKハートネットTV「性を傷つけられた女性たちに寄り添って~奉仕女・天羽道子~」
*2015.8.20 CRISTIAN TODAY「女たちの戦争~従軍慰安婦を告白した城田すず子さん」
*2009.5.27. しんぶん赤旗*2009.3.5. 毎日新聞千葉版。
【参考論文】
◎天羽道子講演録「山頂に建つ『噫従軍慰安婦』碑」
●愛沢伸雄=地域教材と平和学習④
●愛沢伸雄=地域教材と人権学習