お知らせ

【CLIP】180922*ウガンダの人びとと暮らしの写真展

ウガンダの人びとと暮らしの写真展

(CLIP:№449〜2018.9.22付)

日時=開催中〜10月7日(日)9日時〜19時

※土曜日は17時まで、日曜祝日は13〜17時

会場=館山病院内ギャラリー

問合せ=NPO法人安房文化遺産フォーラム


安房の高校生と市民活動の協働によるアフリカ・ウガンダへの支援活動は、今年で24年目を迎える。昨年は孤児送迎用の車の購入支援をし、今夏NPOメンバー3名が現地を視察した。これまでの支援によって建てられた「安房南洋裁学校」や現地の子どもたちの写真を展示する。

【BSフジ】181014*「宇梶剛士のあっちこっち散歩」館山

「宇梶剛士のあっちこっち散歩」館山

…⇒公式サイト

BSフジ 10月14日(日)17:00〜17:55

宇梶剛士がさまざまな街を歩き、街の魅力を再発見。

インスピレーションをもとに街のあっちこっちへと自由に足を運ぶ。

今回訪れたのは館山。

フェアトレードとウガンダ珈琲月間キャンペーンについて、館山焙煎工房カフェポラリスのオーナー鈴木正博さんと、協賛店舗の田中惣一商店の田中明美さんが語ります。

【房日寄稿】180914-15*ウガンダ訪問記(上・下)

‥⇒印刷用PDF


(房日新聞寄稿2018.9.14-15付)

ウガンダ訪問記(上)

NPO法人安房文化遺産フォーラム理事 河辺智美


ウガンダは、「アフリカの真珠」といわれるほど美しく自然豊かな国ですが、今なお多くの子どもたちが貧しい状況にあります。旧安房南高校から始まったウガンダ支援活動は、安房高校JRC部を経て、現在は安房西高校JRC部に引き継がれ、24年目を迎えました。

NPO法人安房文化遺産フォーラムとNGOウガンダ意識向上協会(CUFI)が交流の窓口となり、かにた婦人の村や安房・平和の美術展、館山病院健康友の会など多様な市民ネットワークの応援を得ながら、信頼と友情を育んできました。

昨年は、活動の足となる車両が故障したため、クラウドファンディングや新聞などを通じて募金を呼びかけ、約130万円の緊急支援を贈ることができました。多くの方たちの温かい励ましに後押しされ、私たちNPOの3名(鈴木正博・愛沢香苗・河辺智美)は、8月10日から20日までウガンダを訪問してきました。昨年多くの皆さんの支援金により購入したトヨタハイエースの中古車で、ウガンダ国内を約1500キロ走行し、CUFIの活動状況などを視察しました。

*CUFIの組織と活動

「遠い日本からウガンダの子どもたちのことを思い続け、私たちの活動に理解と協力を示してくださり、ありがとうございます。各プロジェクトがうまく進展するよう、メンバーとともにベストを尽くしています」

CUFI代表のスチュアート・センパラさんは、そう述べて、私たちを歓迎してくださいました。

CUFIでは、人びとが希望をもって心豊かに生きられるように、子供たちに教育を与え、コミュニティをサポートしています。センパラさんの息子ソロモンさんを含むスタッフ7人が、生計を立てる仕事に従事しながら、ボランティア活動に力を注いでいます。

その活動分野は、大きく分けて4つあります。「安房南洋裁学校」での裁縫指導、「キタリア小学校」での教育・給食支援、「カウム・トレーニングセンター」での農業指導、「メデ村」での教育・コミュニティ自立支援などに取り組んでいます。安房から送る支援金は、年度ごとに優先順位を決め活動に有効活用されています。

*安房南洋裁学校の職業訓練

安房からの継続的な支援により、若者の自立を目ざして、安房南と命名された洋裁学校が2001年に設立されています。旧安房南高校で使用されていたミシンをはじめ、教室には机や椅子、トイレなどの環境は整っていますが、現在の生徒数は6名で、電力の不安定など課題が多く、十分に機能しているとは言い難い状況です。

今後は、ビーズを使ったアクセサリーやポシェット、麻袋を利用したカバンなどを作り、日本の安房の皆さんにも喜んでもらえるように、完成度を高めていきたいとのことです。

*キタリア小学校は歓迎の歌とダンス

首都カンパラの近郊にあるキタリア小学校では、ヤギや鶏の飼育、野菜の栽培などをCUFIが指導しています。自給自足で給食が毎日提供されるようになり、子どもたちは調理に必要な薪をもって毎朝登校しています。こうした取り組みは、学校に通う動機づけにもなり、集中力や学力向上につながっているといいます。

ここでは、子どもたちが歌とダンスで大歓迎してくれました。6年生は、「私たちはあなたたちのことを忘れない」というテーマの歌で、とても感動しました。

*メデ村のコミュニティづくり

北部のグル県は、約10年前まで武力紛争により大きな被害を受けていました。なかでもメデ村は、舗装されていない赤土のデコボコ道をひたすら北上したところにあり、茅葺屋根で赤い土壁の丸い家が点在しています。

今でも孤児や出稼ぎで親が不在の家庭が多く、村びとたちがみんなで子どもたちの世話をしています。CUFIでは、定期的に必要な生活物資を届けるとともに、村と学校間の送迎や授業料の支援を続けています。

将来に向け、自生するシアの樹から採取するシアバターの製品化や、色合い豊かな手作りバスケットのクラフト製品などで、経済的な自立を目ざしているとのことです。コミュニティづくりの原点を学ばせていただきました。


ウガンダ訪問記(下)

コーヒーベルトと呼ばれる赤道直下に位置し、標高が高く昼夜の温度差が大きいウガンダでは、良質なコーヒー豆を栽培することができ、アフリカ第二位の生産量を誇っています。

館山で珈琲焙煎工房カフェポラリスを営なむ鈴木正博さんから、ウガンダ産コーヒー豆をフェアトレードで取り扱い、継続的な支援につなげられないだろうかと提案があり、今回のウガンダ訪問が実現しました。

フェアトレードとは、中間搾取をなくし、開発途上国の生産者から公平な価格で商品を購買し、経済的自立を支援する国際協力の方法です。新しい支援のかたちとして広がる可能性が期待できます。そこで私たちは、CUFIの活動とともにコーヒー農園を視察してきました。

*持続可能な農業実践

スチュアート・センパラさんは、1994年に日本の栃木県にあるアジア学院に留学し、有機農業の技術を学びました。カウム・トレーニングセンターでは、日本の学びを活かして、環境に負荷をかけない農業を周辺地域の人びとにも指導しています。それは次々世代までも農地を残していくことにもつながります。 ここではマトケやパパイヤ、キャッサバなど様々な農産物が混在して生産されていました。

畑の一部では、ロブスタ種のコーヒーを栽培していました。ウガンダ産コーヒーは、アラビカ種とロブスタ種の2種類があります。ロブスタ種は成長も早く病害に強いのですが、安価でインスタントコーヒーなどに用いられています。一方、アラビカ種は病害に弱く栽培が難しいけれど、風味豊かな高品質なレギュラーコーヒーの原料として人気があります。CUFIでも将来は、アラビカ種の栽培を試みたいと考えています。

*コーヒー農園の視察

今回、ウガンダ産コーヒーのフェアトレードを先行している日本企業の紹介で、東部ムバレ県の農園を視察しました。ここでは希少なアラビカ種を扱い、農薬に頼らない自然栽培にこだわり、有機栽培やフェアトレードの国際認証を受けていました。

小規模農家が集まって1つのグループを作り、生産された豆を集めて、海外に輸出しています。自分たちの生活を豊かにしていこうというビジョンを持ち、常にコーヒーの品質維持に努めています。

*ウガンダコーヒー月間キャンペーン

ウガンダコーヒーは風味豊かで、自然にも体にもやさしいといわれています。その魅力を広く知っていただきたいと思い、10月を「ウガンダコーヒー月間」と位置づけて、各店舗でウガンダコーヒーの提供やコーヒー豆の販売をおこなうキャンペーンを展開することとしました。10月1日は「国際コーヒーの日」であり、9日は「ウガンダ独立記念日」にあたります。これを記念し、視察した農園のアラビカ種を仕入れて、美味しいウガンダコーヒーを味わっていただきます。

安房地域内の喫茶店などに協力を呼びかけたところ、約20店舗の皆さんが快く賛同してくださいました。地球の裏側の生産者と私たち愛飲者がつながることを通じて、市民交流が深まり、貧しい子どもたちが笑顔で学校に通い続けられるよう、ささやかな力添えになれば幸いです。

これに先立ち、館山病院ギャラリーでは、9月16日から10月7日まで、ウガンダの美しい大自然と活動成果を紹介した写真展を開催します。最終日は、館山病院感謝祭でウガンダ支援バザーをおこない、コーヒーも販売します。ぜひご来場ください。

*コミュニティトレードを目ざして

約10日間の視察では、まだ眠っている資源、これからもっと伸びようとしている芽があちこちで見られました。支援活動とは、裕福な側から貧困な側へ一方的に手を差し伸べるものではありません。むしろ、心豊かに暮らす彼らから学び得るものがたくさんあります。それは、地域に根ざした活動であり、家族のように支えあうコミュニティの姿でした。

近年では、フェアトレードからさらに幅広い「コミュニティトレード」が注目されています。コミュニティトレードとは、環境破壊、地域の過疎化・高齢化、後継者難、伝統的な文化や技術喪失といった多様な地域課題を解決するために、地域の人たちと一緒に事業化していく経済活動のことです。

今後、安房地域とウガンダの両地域の活性化に役立つ商品とその流通、知恵や意見の交流・交換を通じて、コミュニティづくりにつながる国際交流を展開していきたいと願っています。

180901和の国フォーラム@ふさのくに

和の日フォーラム@ふさのくに

‥⇒印刷用PDF

【日時】2018年9月1日(土)18:00〜

【会場】天津神明宮

【内容】

①ひびきあい和の日トーク

・宮内淳(公益財団法人地球友の会代表理事)

・成田均(一般財団法人あわ理事長)

・ウィルトコ・フローリアン(野邊野神社禰宜)

・平澤牧人(飯香岡八幡宮禰宜)

・中嶋祐子(東金八幡神社宮司)

②神話「古事記」影絵

10月はウガンダのコーヒーを飲みましょう。

【ウガンダコーヒー月間=ウガンダ支援キャンペーン】

10月はウガンダコーヒーを飲みましょう。

1杯のコーヒーが、ウガンダの子どもたちを力づけます。

〜10月1日は国際コーヒーの日。10月9日はウガンダ独立記念日〜

開催趣旨‥⇒房日寄稿


チラシ‥⇒印刷用PDF


【協力店舗】

*館山焙煎工房 カフェポラリス【HP

*ブロワ珈琲焙煎所【HP

*TEA & SWEETS ロジェ・ルージュ【HP

*茶房はたやま【HP

*茶房カフェ・ノワール【FB

*パン工房ばんぱん(喫茶)【HP

*館山中村屋館山駅前店【HP

*館山中村屋バイパス店【HP

*再活(リサイクル)家具&カフェあぢまぁ家【FB

*里見茶屋【HP

*トレイクルマーケット&コーヒー【HP

*道の駅 とみうら枇杷倶楽部【HP

*マリヌス【ぐるなび

*芳喜楼【HP

*Hotel&Resorts南房総【HP

*ウェストペニンシュラホテル【HP

*安房自然村レストランカフェ花回廊【HP

*ギャラリー&スペースMOMO【HP

*田中惣一商店(田中金物店)【HP

*スープのよろずや「花」(花の谷クリニック)【HP

*SEACROPダイビングスクール【HP


【呼びかけ人】

*愛沢 伸雄(NPO法人安房文化遺産フォーラム代表)

*新屋敷 孝(全日本年金者組合安房支部書記長)

*五十嵐 逸美(かにた婦人の村施設長)

*鈴木 正博(館山焙煎工房カフェポラリス代表)

*高野 清孝(私立安房西高校JRC部顧問)

*成田 均(一般財団法人あわ理事長)

*橋本 芳久(安房・平和のための美術展実行委員長)

*平本 紀久雄(館山病院健康友の会会長)

*船田 正廣(安房美術会顧問)


【関連行事2018秋】

*ウガンダの人びとと暮らしの写真展

・日時=9月16日(日)〜10月7日(日)

・会場=館山病院ギャラリー

*ウガンダ支援バザーin館山病院感謝祭

・日時=10月7日(日)10:00〜14:00

・会場=館山病院駐車場

*ウガンダ訪問視察報告会

・日時=10月7日(日)15:00〜16:30

・会場=館山病院管理棟2F会議室

*旧安房南高校木造校舎の見学会

・日時=10月27日(土)10:00〜15:00

・会場=旧安房南高校

【房日寄稿】180901*ウガンダのコーヒーを安房で飲みましょう

ウガンダのコーヒーを安房で飲みましょう

NPO法人安房文化遺産フォーラム理事:河辺智美

‥⇒印刷用PDF

安房の高校生がウガンダ共和国の子どもたちを支援する交流活動は、今年で24年目を迎えました。安房南高校の生徒会活動から始まり、統廃合を経て安房高校JRC部が継承し、さらに安房西高校JRC部にバトンが手渡されています。

この間、活動に関わった高校生は延べ400人を超え、中には母子2代にわたって参加している方もいます。NPO法人安房文化遺産フォーラムとNGOウガンダ意識向上協会(CUFI)が窓口となり、かにた婦人の村や安房・平和の美術展、館山病院健康友の会など多様な市民ネットワークの応援を得ながら、信頼と友情を育んできました。

ウガンダは、「アフリカの真珠」といわれるほど美しく、自然豊かな国ですが、今なお多くの子どもたちが貧しい状況にあります。CUFIでは、子どもたちが希望をもって心豊かに生きられるよう教育を与え、コミュニティの生活を支援しています。安房からの継続的な支援により、2000年には安房南と命名された洋裁学校も設立され、職業自立訓練も行われています。

昨年は、孤児の送迎や生活物資の運搬用車両が野生の水牛とぶつかって故障したため、緊急の支援依頼がありました。インターネットを通じたクラウドファンディングや房日新聞などを通じて募金協力を呼びかけたところ、多くの賛同者から温かい募金が寄せられました。目標額120万円を達成し、現地ではトヨタハイエースの中古車両を購入することができたと、喜びの声が届いています。

このとき、館山で珈琲焙煎工房カフェポラリスを経営する鈴木正博さんは、ウガンダのコーヒー豆を仕入れてチャリティ販売を企画し、協力してくださいました。コーヒーベルトと呼ばれる赤道直下に位置し、標高が高く昼夜の温度差が大きいウガンダでは、自然栽培の良質なコーヒー豆を栽培することができ、アフリカ第二位の生産量を誇っています。

これを契機として、ウガンダのコーヒー豆をフェアトレード(公平貿易)で取り扱い、継続的な支援につなげられないだろうかと、鈴木さんから提案がありました。フェアトレードとは、開発途上国に暮らす生産者から公平な価格で商品を購買し、経済的自立を支援する国際協力の方法です。新しい支援のかたちが生まれ、これまで続いてきた交流の輪がさらに広がる可能性が期待できます。そこで、鈴木さんとNPO役員の愛沢香苗さんと私の3名がウガンダを訪問し、CUFIの活動状況やコーヒー農園を視察することになりました。

ウガンダコーヒーは風味豊かで、自然にも体にもやさしいといわれています。その魅力を広く知っていただきたいと思い、安房地域内の喫茶店などに呼びかけたところ、10数店舗の皆さんが快く賛同してくださいました。そこで、10月を「ウガンダコーヒー月間」と位置づけて、各店舗でウガンダコーヒーの提供やコーヒー豆の販売をおこなうキャンペーンを展開することとしました。奇しくも、10月1日は「国際コーヒーの日」であり、9日は「ウガンダ独立記念日」にあたります。7日は館山病院感謝祭でおこなうウガンダ支援バザーでもコーヒー豆も販売します。

この機会に、安房の皆さんが美味しいウガンダコーヒーを味わい、地球の裏側の生産者と販売者と私たち愛飲者がつながることを通じて、市民交流がさらに深まり、貧しい子どもたちが笑顔で学校に通い続けられるよう、ささやかな力添えになれば幸いです。

詳細は帰国後に報告し、ご案内しますが、この企画はコーヒー豆の販売・提供ばかりでなく、バザー品の提供や募金など広く協力を求めています。店舗経営者や個人の皆様が、この趣旨に賛同してくださる場合は、ご連絡をお待ちしています。

問い合わせはNPO法人安房文化遺産フォーラム(0470-22-7281)へ。

181027*旧安房南高校木造校舎(一般公開)

‥⇒印刷用PDF:10/27見学会‥⇒印刷用PDF:10/28ミニ講座


【日時】平成30年10月27日(土)10:00〜15:00

関東大震災から7年後、女子教育の殿堂として、昭和初期の技術の粋を集めた和洋折衷の建築。

左右対称に大きく羽を広げた白鳥のような、美しい地域遺産を未来に手渡すために一般公開します。

どうぞご来場ください。

▼文化財ガイドツアー 10:00/11:30/14:00

▼ギター演奏(安房高校ギター部) 10:30/12:00

▼書道パフォーマンス(安房高校書道部) 11:30/13:30

▼吹奏楽演奏(安房高校吹奏楽部) 13:00

▼黒板アート・作品&写真展(安房高校美術部・写真部等)

▼美術展(安房南高校・安房高校ゆかりの教職員)

▼安房高等女学校から安房南高校までの歴史写真ギャラリー

▼安房地域の歴史文化の紹介

▼ぬか雑巾で木造校舎の床磨き体験 …など

・主催=千葉県教育委員会・千葉県立安房高等学校

・企画運営=NPO法人安房文化遺産フォーラム

・協力=安房高等女学校木造校舎を愛する会

・後援=館山市・館山市教育委員会・千葉日報社

千葉テレビ放送・房日新聞社

・問合せ=043-223-4130(千葉県教育庁文化財課)

090-6479-3498(安房文化遺産フォーラム)


★オプション企画

【日時】平成30年10月28日(日)13:30〜15:00
*ミニ講座&証言の会

校舎に残る貴重な資料から、歴史の調査研究を進めています。戦前の安房高女や新制高校の歴史を聞き、思い出話を語り合いましょう。 懐かしい昔の 写真や記録をお持ちの方は、ぜひご持参下さい。

・主催:NPO法人安房文化遺産フォーラム

・協力:安房高等女学校木造校舎を愛する会

【赤旗】180824*戦争と9条(池田恵美子)

首都圏証言シリーズ「戦争と9条」

館山で平和の文化学ぶ旅

安房文化遺産フォーラム事務局長:池田恵美子

(しんぶん赤旗2018.8.24付)‥⇒印刷用PDF

千葉県房総半島の南端にある館山市は海と花の町で有名ですが、戦時中、数々の軍事施設が建設されました。戦争遺跡の保存や継承に加え、地域の文化、自然を通して平和を学ぶ旅(ピースツーリズム)を発信するNPO法人安房文化遺産フォーラムの池田恵美子事務局長(57)に聞きました。

(小酒井自由)


館山は、地図を逆さにして見ると、弧を描いた日本列島の頂点にあたります。古くから、海路の拠点として人びとが交流した地でした。江戸期に建立された、ハングルの平和祈念碑や、遭難救助記念の日中友好碑もあります。


まちを要塞化

一方、帝都防衛のための「東京湾要塞」として、砲台など様々な軍事施設が次々と建設されました。

現在の海上自衛隊館山航空基地は、かつては館山海軍航空基地(館空)でした。短い滑走路と風の条件を生かして、タッチアンドゴー(離着陸)訓練が行われ、「陸の空母」と呼ばれていました。

館空で訓練した部隊は、中国重慶などへの無差別爆弾攻撃や、ハワイ真珠湾攻撃に投入されたと考えられています。

館空に隣接した赤山地下壕跡(館山市指定史跡)は、日米開戦前から作られたという証言があり、平和学習の拠点として年間約4万人が訪れます。

本土決戦に備えた、人間魚雷「回天」や特攻艇「震洋」の基地など、多くの戦争遺跡が今も残っています。

戦争末期には、「花作り禁止令」が出され、花畑は、サツマイモや麦畑に変えられました。花の球根や種は焼却され、取り締まりも厳しく行われました。

その時、命がけで球根や種を隠し守った農民のおかげで、戦後の花作りが再びはじまったのです。

また、終戦直後には本土唯一、4日間の直接軍政が館山に敷かれました。

館山の平和学習では、多面的な「平和の文化」を学ぶことができます。


平和のとりで

私たちは、こうした歴史や文化、自然などを「館山まるごと博物館」と呼び、ピースツーリズムのまちづくりを進めています。毎年、国内外から訪れる約100団体を受け入れ、ツアーガイドを実施しています。 館山を訪れた人たちが、それぞれのまちでも歴史文化を掘り起こし、ともにピースツーリズムの輪を広げていきたいです。

憲法9条は平和のとりでです。けれども、この国は再び誤った選択をしてしまうかもしれません。そんなとき、花が禁止された絶望の中でも、花の種子を守り抜いた農民たちのようになりたいと思います。

憲法には、9条の他にも大切な条文がたくさんありますね。

とくに、前文や25条に基づいた、命と生きる権利を守るために、医療や福祉をもっと大切にしていってほしいと願っています。

(了)