【房日】250801_明治期渡米のアワビ漁師 オンラインで語り合う
明治時代に南房総から米国西海岸に渡ったアワビ漁師について、米国の研究者とオンラインで語り合う催しが、館山市の「ギャラリー&カフェ船形倉庫」であった。
開催した同市のNPO法人安房文化遺産フォーラムによると、現在の南房総市出身の小谷源之助(1867~1930)と、弟の仲治郎(1872~1943)をリーダーとするアワビ漁師たちは、1897(明治30)年、アワビが豊富に取れることに着目した現地関係者の求めに応じ、米国カリフォルニア州モントレーに渡った。寒流の冷たい海での作業向けにヘルメット式の潜水具を持ち込むなどしてアワビを採取し、ステーキや缶詰などにして紹介。アワビを食べる習慣がなかった米国でのアワビの産業化に寄与した。
1925(大正14)年に渡米した皇族の朝香宮夫妻が、現地で活躍する日本人向けに寄付を行い、小谷らによる事業収益を合わせて翌年、日系米国人市民同盟(JACL)モントレー会館が建設された。
現地では、会館の建設100年の節目を祝うさまざまなイベントが企画されている。今回のオンラインの語り合いは、この一環で行われた。
現地からは、小谷兄弟などを研究している歴史学者とJACL学芸員、館山市からは県水産試験場でアワビの種苗生産の研究に当たっていた大場俊雄さん(93)=同市那古=や、同NPO共同代表の池田恵美子さんら約10人が参加。小谷兄弟の足跡や実績を報告。関係者との思い出などを語り合った。
この中で、歴史学者のサンディ・ライドンさんは「日本とモントレーのつながりは、これからも続いていくと確信しています」と話していた。
(斎藤大宙)