【Report】コロナ禍のウガンダと「生理の貧困」問題

コロナ禍のウガンダ支援交流

1989年から旧安房南高校で始まり、安房地域の高校生と市民協働で続けてきたウガンダ支援交流は、今年29年目を迎えます。多くの皆さんに、ウガンダコーヒー月間キャンペーンや、安房・平和のための美術展、ウガンダ布の手作り製品の補修・販売などにご協力いただき、御礼申し上げます。

NGOウガンダ意識向上協会(CUFI)代表のスチュアート・センパラさんからも、皆さんへの感謝とともに、支援金の使い途やコロナ禍の状況について報告が届きました。

医療体制が脆弱なウガンダでは、コロナ禍において厳しいロックダウンが敷かれ、あらゆる社会経済活動が制限されました。もともと失業率が高く、貧困が根深かったうえ、その日暮らしの人々はさらに深刻な打撃を受けています。CUFIでは、子どもや高齢の弱者がコロナ感染よりも先に飢餓に陥ることを心配し、食糧の配布や医療ケアを地道に続けているそうです。

厳しい対策により、感染者や死亡者数は低く抑えられたものの、ロックダウンに伴う休校は約2年続き、世界一長いといわれました。学びの機会を失った子どもたちは、家計を支えるために働かざるを得なくなったり、望まない妊娠や早期の結婚、中途退学につながったりと、子どもたちの犠牲はとても大きかったようです。

幸いにも、CUFIの子どもたちは、学校再開とともに大半が復学できたとのことで安堵しました。

 

ウガンダの生理事情と新たな協働の展開

コロナ禍に突入したころ、日本国内でも「生理の貧困」という報道を目にするようになりました。経済的な理由により、生理用品を十分に買うことができない状況を指します。

一方、ウガンダでは、日本以上に深刻な「生理の貧困」が起きていました。ウガンダの生活水準や物価から考えると、使い捨てナプキンは高級品であり、困窮家庭の少女たちは生理用品を購入することが困難です。そもそも農村部では、生理用品を売っているお店も少ないのです。

少女たちは生理になると、ボロ布や新聞紙、葉っぱなどを代用して凌いでいるといいます。不衛生なため感染症のリスクもあります。さらに、経血が漏れ出ることや、それを男の子にからかわれることの不安から授業に集中できず、学校を休みがちになります。学習についていけなくなり、中退してしまうケースもあります。教育を受けなければ 安定収入を得ることも難しく、「貧困の連鎖」を生みます。

昨年夏、ウガンダで「生理で学校に行けなくなる女子学生の教育環境改善事業」に取り組んでいる日本のNPO法人グローバル・ブリッジ・ネットワーク(GBN)を知りました。生理用の布ナプキン作成の指導をはじめ、清潔なトイレや手洗い・更衣室の整備など、様々なプロジェクトを現地のパートナー団体とともに展開しているのです。

GBNの大西麻衣子理事長は、「生理用品を寄付するだけの支援ではなく、自分たちでそれを作る技術を身に着けさせることが重要」と語ります。布ナプキンは衛生的で、費用を抑えて繰り返し使うことができます。また、生理に関する正しい知識は、男の子たちにも学ばせるジェンダー教育の普及にも努めているそうです。こうした啓発活動は成績の向上や就学状況の改善にもつながったといいます。

早速私たちはGBNに連絡をとり、センパラさんにも呼びかけて、国際オンラインミーティングをおこないました。子どもたちが安心して学校生活を送れるよう、CUFIでもこのプロジェクトに参画することになり、新たな協働がスタートしました。GBNのホームページでは、さまざまな取り組みの動画が紹介されています。ぜひ一度ご覧ください。

 

女性の生理をめぐる問題

多くの女性は、生理による体の不調や困りごとを経験し、それが学校生活や仕事にも影響します。「生理の貧困」は、発展途上国と呼ばれる国だけの問題ではありません。日本でもコロナ拡大が長引く影響で、経済的に困窮する人が増え、「生理の貧困」が顕在化しているといわれます。NHKの『おはよう日本』でも、「学生の5人に1人が生理用品の入手に苦労している」と報道していました。「生理の貧困」が社会問題視され、さまざまな支援が広がりを見せています。学校や公共施設でも生理用品を無料配布することなどが、公に議論されています。

こうした背景のなかで、それまでプライベートな領域としてオープンに語ることがためらわれた生理について、語り合い、考え、理解を深め合うことは、決して恥ずかしいことではないと気がつきました。むしろ、重要なことといえるのではないでしょうか。自分の身体を大切にすることはもちろん、相手の身体も大切にするという人間関係の基本を、改めて考えるきっかけを与えてくれたと思います。

ぜひ男性の皆さんも意識を向け、女性特有の生理について、理解を深めていただきたいと願っています。それが思いやりの社会を生み、女性の生理をめぐる環境の改善につながることと期待しています。

粕谷智美(NPO法人安房文化遺産フォーラム)

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