寺崎武男 平和の祈り展

房日新聞 2025.5.17.   ⇒ 東京新聞 2025.5.28.

<戦後80年企画>

館山ゆかりの国際画家・寺崎武男 平和の祈り展

2025.5.17.(土)~ 6.10.(火)

会場:渚のギャラリー
(館山市館山1564-1 “渚の駅”たてやま2F)
入館無料 9:00~16:45
休館日 5/26(月)

*ギャラリートーク
5/18(日)13:30
6/1(日)13:30

寺崎武男は、東京美術学校を卒業後、1907(明治40)年にイタリアへ国費留学して伝統的な欧州美術の研究をし、日本へ紹介した近代絵画の先駆者です。ベネツィア・ビエンナーレで日本人初の受賞し、ローマで開催された日本美術展で通訳兼コーディネーターを果たし、海外では高く評価されていますが、日本ではあまり知られていない〝幻の国際画家〟です。

ヨーロッパでは世界大戦を経験し、大正期から暮らした千葉県館山では自宅近くに館山海軍航空隊(館空)が開かれ、空母パイロットの離着陸訓練や落下傘部隊の降下訓練などを目撃し、戦雲を間近に感じていたことでしょう。戦時下の国策として、戦意高揚画を描かざるを得なかった一方で、誰より平和を願いながら、祈りの作品や宗教画を多く描き残しています。

「天守閣(城)」を描いた作品の右下隅には、「昭和20年9月1日 館山に敵入る」と目立たない小さな文字で書き込まれています。実際、8月30日に館山へ上陸した米占領軍の先遣隊を目撃し、2日間で描き上げたようです。さらに、9月3日には正規の米占領軍3500名が上陸し、館山は本土唯一の「直接軍政」が敷かれました。

今回、目黒区美術館にて<遥かなるイタリア 川村清雄と寺崎武男>展が開催されるにあたり、屏風画『平和来たる春の女神』などの大作は貸出中(裏面)ですが、本展では<平和の祈り展>と題して、房総開拓神話・キリスト教・仏教などの宗教画とともに、「戦後80年」を迎える館山の戦争遺跡などを紹介します。

家族や友人と交わした530枚の書簡を解読調査し、2023年には「寺崎武男・生誕140年」シンポジウムにて報告しています。その報告書を『寺崎武男 生誕140年・平和の祈り』として、このたび増補版を改刷しました。

参考資料:調査報告書
頒価1,000円 ⇒ オンラインショップ

 


<関連事業> ⇒ 公式サイト
目黒区美術館(目黒区目黒2-4-36)

遥かなるイタリア 川村清雄と寺崎武男

2025.4.19.(土)~ 6.8.(日)

明治期にイタリア留学して東西の文化を深く研究し、日本の近代洋画創造に挑んだ2人の画家、川村清雄と寺崎武男の企画展。特に寺崎は帰国後館山に暮らした縁があり、遺族より多数の作品や書簡スケッチ帳などを寄贈され、調査研究シンポジウムや絵画展を館山でも開催してきました。本展では、NPO所蔵の9作品や資料類を貸し出しています。東京近郊の方はぜひご鑑賞ください。

4/27(日)14:00~15:30 講演:石井元章(大阪芸術大学教授)
5/11(日)14:00~15:00 カトリック碑文谷教会・寺崎壁画見学
5/24(土)14:00~15:00 担当学芸員の美術カフェ・トーク


 

<過去の関連事業>

海とアートの学校まるごと美術館
~ 青木繁・寺崎武男・倉田白羊 ~
2019.4.29.~ 5.6. 旧富崎小学校

▷ 館山を愛した画家たち展
~ 青木繁・寺崎武男・倉田白羊 ~
2019.7.13.~ 9.1. 渚のギャラリー

ギャラリートーク
~館山の海を愛した画家たち
2019.8.4. 渚のギャラリー

渚の美術講座
~ 館山の海を愛した画家たち
2019.8.27. 渚のギャラリー

▷ 寺崎武男 生誕140年作品展
2023.3.25.~ 4.5.
@南総文化ホールギャラリー

寺崎武男 生誕140年シンポジウム
2023.4.1. @南総文化ホール小ホール