【ふぇみん】241208_かにた村スタディツアー

(「ふぇみん」2024.12.8.付)

ふぇみん主催「かにた婦人の村」を訪れるスタディツアー
日本人「11慰安婦」城田すず子さんの足跡に触れて

11月17日、ふぇみんは、日本人「慰安婦」であると言われてきた城田すず子さんが後半生を過ごした、千葉県館山市にある、婦人保護長期入所施設「かにた婦人の村」(以下、かにた)へのスタディツアーを行った。(編集部)

かにたは、館山の海が見下ろせる房総の小高い丘にある。住居棟など小さな建物がいくつか並び、広大な畑には野菜や果樹が植えられ、みかんがたわわに実っていた。

参加者はまず礼拝堂の地下納骨堂に入り、城田さんたちの写真を前に手を合わせた。

礼拝堂で、施設長の五十嵐逸美さんと、かにたのスタディツアーガイドを請け負う「安房文化遺産フォーラム」代表の池田恵美子さんから、施設の歴史や入所者について聞いた。

1965年に開設されたかにたは、売春防止法で規定される「要保護女子」の中でも知的障害・精神障害を抱え、長期の保護による生活支援を必要とする女性を全国から受け入れてきた。現在は、性暴力被害やDV被害に遭い、行き場をなくした19~92歳の女性たち40人が、農園、パン作り(休止中)、編み物、陶芸など、自分で選んだ活動をしながら暮らす。

五十嵐さんは「かにたは、共同生活の村のようなコロニーを城田さんが切望し、故・深津文雄牧師の尽力で開設された。パン作りも城田さんの提案だったと聞いている。このコロニーを地域に広げて、優しいまなざしを向けてくれる運動もしていきたい」と語った。かにたでは、入所者と地域の障害者が共に活動する作業所もあり、バザーや音楽会などのイベントにも地域の人が積極的に参加しているという。

城田さんは入所後、「慰安婦」体験を告白し、仲間の鎮魂を願ったことから、95年、敷地内に「噫(ああ)従軍慰安婦」の碑が建てられた。山の頂まで坂道を上り、碑を見学した。

昼食後は、池田さんから、地域の有形無形の固有資源を野外博物館とする、エコミュージアムとしての「館山まるごと博物館」の話を聞いた。実はかにたは、旧海軍砲台跡地に建っている。周辺には海軍航空隊の地下壕など、数多くの戦跡が残る。

池田さんは「これからは、平和・交流・共生の歴史文化を学ぶピースツーリズムという平和産業が必要だと思う。皆さんもご自身の地域でぜひ探してください」と話した。

かにたでは、現在、住居棟の建て替え工事が進むが、建設資金が足りず、寄付を募っている。この日、プロテスタントの奉仕女として、深津牧師と共に創設以前から、施設と女性支援に尽力した天羽道子さんが「ご支援に感謝しています」と挨拶に来てくれ、皆で出会いを喜び合った。

*寄付は、「かにた婦人の村 建替資金寄付」で検索を。