メディア報道

【房日】100502*医療・まちづくりシンポ〜パネル討論要旨①

(房日新聞2010.5.2付)

医療・まちづくりシンポ
〜パネル討論発言要旨(上)

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館山市の南総文化ホールで4月28日行なわれたシンポジウム「癒しの海辺のまちづくり」での、パネル討論参加者の発言要旨は次のとおり。

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■松永平太氏(松永医院院長・安房医師会理事)
〜看護大学に住民の支援を

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「いのちの山河」はとてもいい映画だった。加藤先生(注・シンポジウムで基調講演をした旧沢内村の加藤邦夫医師)が50年前にやられていたころが良く理解できた。安房地域も、住民検診が発達した地域と言われている。それは先人のドクターたちが沢内村に行って学んで、持ち帰ったと聞いている。

安房地域では亀田(メディカルグループ)さんがあることで、日本一安心、安全な地域だと思っている。東京では診療所がいっぱいあるが、9時から5時まで。夜は無医村。新聞に載るような救急のたらい回しは安房地域にはない。亀田さんが必ず診てくれるからだ。

問題はやはり看護師不足。安房医師会としても行政に対し、看護師になりたい人に奨学金をだしてくれと要望している。亀田さんも看護学校をつくろうとしているが、膨大なお金が必要。亀田信介さんや省吾さんは「ヒラメ」のような人。いつも上だけ、理想だけを見て、経営が厳しくても「人が大事だ、教育が大事だ」とお金をつぎ込んできた。それで全国からお医者さんが集まる優秀な病院になった。

だが看護大学は壁にぶつかっていると思う。住民が寄付をして、看護師養成に力を尽くしてほしい。安全と安心のある地域で、この50年後、100年後をどうしていくのか、住民とともに考えたい。

いい地域医療をやろうというのは、まちづくりや文化づくり、風土づくりにつながる。よそ者である「風の人」、地元の「土の人」がつながって風土がつくられる。そういう社会をみなさんとつくっていきたい。



■愛沢伸雄氏(安房の地域医療を考える市民の会呼びかけ人)

〜先人のような知恵出そう

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館山に来て30年になる。20年前に「かにた婦人の村」と深津文雄牧師に出会ったことがきっかけで、文化財保存運動を進めてきた。医療も文化遺産で、大変な人々の知恵や力が投入されてきたことを知らなければいけないと思う。

加藤先生の話を聞いて意を強くしたのは「課題を明確にして、今の問題は何かをきちっとつかまえる」と言われたこと。沢内村が抱える問題は全国どこにもあったが、なぜ沢内村が成功したかというと「対話、話し合い」があった。村長が人の意見に耳を傾けた。

この地域で、ちょっと残念なのは「どうにかなっぺよ」という感じ。この程度でいいやと。問題にかかわると、変人扱いされかねない。

ただ、この「どうにかなっぺよ」も、食べられる地域をどうにかつくってきたことの裏返しなのかもしれない。地震や災害が多い地域だが、そんな中でどうやって食べられるシステムを先人たちがつくってきたか、個人的にも興味がある。

地域医療の問題点是正にはお金もかかるし困難も大きいが、この地域には解決する力があると思う。それが全国のモデル的なものになればいい。

この地域は公立病院がなくてもやってきたし、みんなでお金を出し合って病院を作ってきた地域でもある。学校もそうだ。地域の持っている特性を分析し、どうやったら先人のような知恵を出せるかを考えたい。

もう一つ。この地域は人々が力を合わせて30年以上コミュニティという組織を運営している。他にはない優れた組織形態だと思う。綜合検診の推進にもかかわっている。今こそ安房の人が大同団結し、医師と住民が力を合わせて困難を乗り越えていきたい。

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(つづく)

【房日】100430*旧沢内村の加藤医師講演

館山で医療シンポ、旧沢内村の加藤医師講演

「健康教育で生きがい社会を」

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地域医療をめぐる問題を含め、今後のまちづくりのあり方を考えるシンポジウム「癒しの海辺のまちづくり」(安房の地域医療を考える市民の会主催、安房医師会共催)が28日夜、館山市の南総文化ホールで開かれた。

岩手県の旧・沢内村(現・西和賀町)で故・深沢晟雄村長とともに「生命尊重行政」を進めた加藤邦夫医師(79)が約200人の聴衆を前に基調講演。「高齢者が生涯現役で働ける、生きがいのある社会」実現のため、「住民自身が医療・健康についての知識を高め、医師は住民への健康教育を重視することが大切だ」と語った。

加藤氏は昭和35年、「豪雪・貧困・多病多死」に悩む沢内村に赴任。その翌々日に「吐血した人がいる」との連絡で往診に出たが、現場には除雪されていない道を2時間歩いて行かねばならず、到着すると既に患者は死亡。山間地域の厳しい現実を目の当たりにした。

「当時医療費は50%患者負担。病人はごろごろいたのに、経済的な理由で医者に行かない人が多くいた」。こんな事情を背景に、沢内村は乳児と60歳以上の医療費全額負担を決断。加えて健康増進・疾病予防対策を重視した「包括医療」を推進し、昭和37年には全国初の乳児死亡率ゼロを達成した。

加藤氏は講演で、全額公費負担で一時的に医療費が増大して国民健康保険料が上がったものの、村民の疾病率が減少したことで、後に保険料は下がったと指摘。また、高血圧の受診体制を充実させることで、脳卒中の患者が減少したことを紹介し、「予防に力を入れれば医療費は減っていく」と強調した。

深沢村長の功績については「口だけで理想を語るのではなく、実際に財政措置をした。村の自主財源はわずか10%ほどだったが、村長はその大半を医療・健康対策に投入した」と語った。

シンポでは「癒しのまちづくりの夢を語ろう」と題したパネル討論も実施。松永平太・松永医院院長、愛沢伸雄・安房の地域医療を考える市民の会呼びかけ人代表、高野良裕・前館山病院院長、福留強・聖徳大学教授の4氏が、それぞれ看護師不足問題や高齢化する社会への対応策などについて発言した。

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=パネル討論の内容は、発言要旨を後日掲載する予定です=

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(房日新聞2010.4.30付)

【房日】100420=亀田医療大学、財政支援望めず

24年開学目指す 亀田医療大学 県の財政支援望めず

鉄蕉館の理事長、国のモデル地域認定を模索

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学校法人鉄蕉館の亀田省吾理事長は18日、平成24年春に開学を予定している亀田医療大学(仮称)について、「千葉県からの(財政)支援は望めない」との見通しを明らかにした。鴨川市で同日行った医療シンポジウム後の記者会見の中で語った。

県からは、10億円前後の支援をあてにしていたといい、開学に向けた資金調達の先行きに不安が出てきた。同理事長は「看護師養成は、亀田メディカルグループ全体としての最重要課題。(大学開設計画は)不退転の決意で臨んでいく」と指摘。今後、安房地域全体を国の「医療モデル地域」に指定してもらう道を探り、その交付金を活用して資金問題を解消していく構想を示した。

理事長によると、亀田医療大学の開設構想をめぐっては、県南の20の自治体首長が連名で、県に支援を求める要望書を作成。片桐有而・鴨川市長、金丸謙一・館山市長、石井裕・南房総市長の3氏がこのほど県庁に出向き、陳情を行ったという。

しかし、県幹部の反応はきわめて鈍く、対応にあたった首長の一人から「可能性はない」との感触を得たという。

鉄蕉館は当初、大学建設にかかる費用を約48億円と算出。鴨川市が鴨川中移転後の用地の無償貸与を決めたことで負担は30億円に圧縮され、うち21億円を公的支援・個人、企業などからの寄付でまかなう計画を立てていた。

亀田省吾理事長は「これまでの大学新設などの通例から見て、率直な話、半額程度を県に期待していた」と言及。同席した医療法人鉄蕉会の亀田隆明理事長は「看護師が不足し、医療・福祉分野が今後の成長産業になると言われている中、県の認識は10年ぐらいタイムラグがある」と不満を示した。

亀田医療大学は、開学時には看護学部看護学科の1学年定員80人を予定。1期生が卒業する平成28年には、大学院設置を目指す。現在ある専門学校の看護師養成課程(1学年定員80人)も引き続き維持する。

亀田省吾理事長は「大学教員の人材は確保できた。来年3月に大学開設の本申請を行うため、この1年が重要。地域の理解と支援を得るため、積極的に働きかけを進めたい」などと語った。

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【写真説明】医療シンポでのパネル討論。右から2人目が鈴木寛・文科副大臣=鴨川

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(房日新聞2010.4.20付)

【房日】100416=青木繁『海の幸』安房西高にブロンズレリーフ

原寸大の青木繁「海の幸」

安房西高にブロンズレリーフ、講師の船田正廣さん制作

(房日新聞2010.4.16付)


館山市の安房西高等学校(熊沢彰校長)に、明治期の画家・青木繁の代表作「海の幸」を原寸大の彫刻にしたブロンズレリーフがこのほどお目見えし、校舎1階の「校内ギャラリー」に飾られた。

2001年から教団に立つ美樹t教師、船田正廣氏(72)が制作した「石膏原型」を、同校が約180万円をかけてブロンズに鋳造した。

「海の幸」は1904(明治37)年に制作されたが、同校も翌年の創立で、ほぞ同じ歴史を刻んできた。

熊沢校長は「青木が『海の幸』を描いた館山布良の小谷家住宅の保存運動があることを知り、感じるものがあった。船田さんの作品を校内に残したいという思いもあった。レリーフを通じ、生徒らが郷土の歴史・文化に誇りをもってくれれば」と話している。

船田さんは東京芸術大学彫刻科を卒業。安房南高、安房高で長く美術を教え、定年後ほどなくして安房西高に。「与えられた美術の準備室で、房州に来てからいつも気になっていた『海の幸』(の写真)と長時間向き合うことができた」という。

その中で、青木繁は彫刻家以上に彫刻的な絵を描く画家だとの結論に達し、「この絵から必ず彫刻が生まれる」と確信。原型のサイズ(縦70.2センチ、横182センチ)で「彼の感動に迫ってみよう」と、レリーフ制作を決意した。何度か行き詰まりながらも丸三年の年月をかけ、2004年に完成させた。

重さ約110キロもあるというブロンズ・レリーフには重厚感があり、迫力も十分。原画の持つ力強さを余すことなく表現している。

船田さんは「青木繁と館山の結びつき、『海の幸』の美術史上の重要性を理解していただき、熊沢校長に感謝している。自作がブロンズで残るのは至福な気持ちだ」と話している。

(房日新聞2010.4.16付)

【房日】100415*地域医療考えるシンポジウム

(房日新聞2010.4.15付)

元沢内村の加藤医師が講演

地域医療考えるシンポ

28日に 南総文化ホールで

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地域医療をめぐる問題について市民サイドから発言を続けている「安房の地域医療を考える市民の会」(愛沢伸雄・呼びかけ人代表)が28日夜、安房医師会との共催で、「癒しの海辺のまちづくり」シンポジウムを館山市の南総文化ホールで開催することになった。

地方・遠隔地での医療実践を重ねてきた医師やまちづくりのエキスパートを招き、講演や討論を通じて「保健医療分野が充実した、安心して暮らせる地域づくり」の可能性を探っていきたいという。

同会によると、シンポでは冒頭、かつて岩手県沢内村で「地域包括医療」推進に尽力した加藤邦夫医師(79)が「自分たちで生命を守った村」と題して基調講演。

その後、松永医院(南房総市)の松永平太院長、愛沢伸雄氏、高野良裕・前館山病院長、福留強・聖徳大学教授の4氏が「癒しのまちづくりの夢を語ろう!」をテーマにパネル討論を行う。

加藤医師は、1960年に国保沢内病院長に就任。「生命尊重行政」を掲げ、高齢者と乳児の医療費無料化を全国で初めて実現した故・深沢晟雄村長のもとで、全村民の健康台帳整備や先進的な疾病予防活動に取り組んだ。今も現役で、仙台徳州会病院で人間ドックを担当している。

当日は小ホールで、午後7時から8時45分までの予定。参加費500円。前売り券を、同ホールと安房医師会の協賛病院で取り扱っている。

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開催概要はコチラ

【房日】100411*赤山地下壕、見学者17,112人

(房日新聞2010.4.11付)

赤山地下壕、昨年度見学者は1万7,112人
過去最高記録、観光スポットとして定着

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館山市が、平和学習・観光交流の拠点として一般公開している戦争遺跡の赤山地下壕の平成21年度見学者実績がまとまった。総見学者数は前年より11.2%、1,723人増えて過去最高の1万7,112人を数えた。1日平均では約50人が訪れており、同市の観光スポットとして定着しつつある。

同地下壕は、米軍の空襲がはげしくなった太平洋末期、当時の館山海軍航空隊の防空壕として使われた。総延長1.6キロと全国的にも大きな地下壕で、市を代表する戦争遺跡のひとつ。一般公開翌年の平成17年1月には、市の史跡にも指定されている。

まとめによると、見学者の内訳は個人客が9,264人で全体の54.1%と半数を超えている。学習旅行などの高校生は24.7%と全体の4分の1にとどまり、大人が75.3%を占め、相変わらず戦前・戦中世代の人たちに関心が高いことがうかがえる。県外からの来訪者も9,542人で55.8%と過半数を数える。月別では、7月が2,000人と最も多く、次いで5月の1,934人、10月の1,742人、11月の1,648人の順で続き、7月の1日平均は66.7人にのぼった。

同市教委によると、一度ガイドをした団体などから紹介され、見学の際にガイドを依頼するケースが増えており、近くのホテルなどの案内で訪れる宿泊者の姿も目立つ。「こうした相乗効果が増加につながっている」としたうえで、「さらにPRに努めていきたい」としている。

【房日】100410*医療者育成考えるシンポ

(房日新聞2010.4.10)

医療者育成考えるシンポ 鴨川 18日
学校法人「鉄蕉館」
看護大学の開学に向け

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鴨川市に看護大学の開学を目指す亀田病院系列の学校法人「鉄蕉館」(亀田省吾理事長)は、地域における医療者育成を考えるシンポジウムを18日午後1時30分から4時30分まで、同市民会館で開く。無料で、問い合わせは鉄蕉館大学開設準備室(04—7099—1211)へ。

安房4市町と県、安房医師会、県看護協会、房日新聞社などの後援で、タイトルは「目指せ健康長寿日本一」。看護師や介護士らの人材不足が予想される中、将来に向け取り組むべき医療者育成対策を専門家に聞き、合わせて仮称「亀田医療大学」のビジョンを理解してもらおうという。

プログラムは、亀田理事長が亀田医療大についての説明を交えあいさつ。「幸せな長寿社会に向けたわが国の国家戦略」と題した基調講演と、3人のパネリストによる「地域における医療者育成を考える」のシンポが続く。

講演するのは、「教育や医療など、社会サービスに関する公共政策の構築」をライフワークとする文部科学副大臣の鈴木寛氏。東大法学部を卒業後、通商産業省に入省。シドニー大学、慶応義塾大学助教授などを経て現職。「中央省庁の政策形成過程」など多数の著書がある。

一方のシンポは、鴨川市の長谷川孝夫教育長が座長。市川保健所長(前安房保健所長)の久保秀一氏が「高校生に向けた『医療者になろう』キャンペーンの実際」、元総務省官僚で東大医療政策人材養成講座の医療基本法プロジェクト・リーダーの小西洋之氏が「疲弊している地域の医療福祉を守るために(国家行政の視点で)」、亀田総合病院の亀田信介院長が「安全、安心と地域振興(医療機関の立場から)」のタイトルで語る。

【房日】100408*館山の教育旅行実績

(房日新聞2010.4.8付)

教育旅行 21年度は50校受け入れ 館山

豊富なメニューで年々増加

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地域資源を活用した体験観光を目玉に、教育旅行の誘致に力を入れる館山市の21年度実績がまとまった。受け入れた学校数は、昨年より4校増えて50校を数え、無人島探検やビーチコーミング、田植え体験など豊富なメニューに、延べ6007人(前年比1757人増)の子どもたちが「館山」を体感した。

5月の連休明けから夏休みが始まるまでの端境期に、中学・高校による教育旅行のニーズは高く、限りある予算の範囲内で体験観光を通した学習旅行を求める学校側の思惑と合致。市内でもNPOや業者の協力で、里海や里山を利用した豊富な体験メニューもそろうようになり、6年ほど前から同市の教育旅行受け入れが本格化した。

以来、16年度が12校、17年度38校、18年度は42校と年を追うごとに増加。とりわけ関西・中京方面からのディズニーランドとセットにした修学旅行が多く、最近は東北エリアや首都圏の学校が学習旅行に訪れるケースも目立ち、受け入れ施設もペンションやホテルから民宿も加わるようになってきた。

21年度の状況によると、月別受け入れ数はやはり6月が10団体で最も多く、次いで5月の7団体、4、10月の5団体と続く。体験プログラムの人気ランキングでは、やはり海の館山を象徴する海辺の自然観察・ビーチコーミングが1271人とトップで、平和学習体験の908人、砂山滑り体験528人、房州うちわづくり407人、田植え体験338人の順となっている。

すでに、今年も今月14日から受け入れがスタート。前年を上回る予約状況となっており、「教育旅行のニーズはまだまだ高いです」と窓口となっている体験交流協会では話している。