画家の大山晃一さん慈善個展
ウガンダ支援へ30万1200円、NPO法人へ寄贈
(房日新聞2017.10.22付)‥⇒印刷用PDF
NPO法人のウガンダ支援に共鳴し、描いた作品をチャリティーで出展していた画家の大山晃一さんの個展がこのほど終了。絵画の売り上げ27万2000円、会場の募金箱2万9200円の計30万1200円が安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄代表)に寄贈された。
油絵の画家として9年前に館山市に移住。同市では初めての個展となった。闘病のため、自宅と施設で過ごしているが、ウガンダ支援に感動し、関係者が作品を額装するなどして、個展にこぎ着けた。
展示には大山さん買い置きの額では不足で、館山銀座通りの小林民芸店オーナーが、チャリティーの趣旨と大山作品に感銘。格別優遇で小品も額装された。
本紙報道もあって、3週間の会期中、延べ200人が来場。大山作品に魅せられた来場者が、破格の値段だったこともあって、会場の募金箱への寄付もあったという。
売上金から額代金や案内はがき印刷代、郵便切手などの経費を差し引き、残金と募金が寄付された。
贈呈は会場のギャラリー葉葉であり、恵子夫人(75)からNPO関係者に現金で手渡された。
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闘病中だった大山晃一さんは17日、家族に見守られて永眠。80歳。葬儀・告別式は21日、遺言通り親族だけで執り行われた。
【参考】⇒ ウガンダ支援*クラウドファンディング
館山の遺産や風景描く
東葛飾高校美術部、研修旅行の成果披露
(千葉日報2017.10.11付)‥⇒印刷用PDF
青木繁「海の幸」記念館がある館山市の小谷家住宅で、県立東葛飾高校美術部(柏市)による初の作品展が開かれている。研修旅行で館山市を訪れた部員が市内でスケッチした成果である文化遺産や自然風景の絵画22点がずらりと並んでいる。11月5日まで。
同校では2012年から、総合学習の一環で1泊2日の研修旅行を実施。希望する生徒を募り、館山で文化財保護を進めるNPO法人安房文化遺産フォーラムの案内を受け、赤山地下壕(ごう)、かにた婦人の村などを巡る。
美術部の生徒は毎年参加しており、今回の作品展では空襲から戦闘機を守った掩体壕(えんたいごう)や布良埼神社、海辺の景色などを若い伸びやかなタッチで描いた。さらに、明治期の画家である青木繁の代表作「海の幸」と「わだつみのいろこの宮」の同寸大模写作品も近くの安房自然村で展示している。
美術部長の2年生、原田雅大さん(16)は「昨年初めて館山に来た。海がきれいで感じたままを描いた。絵の場所が分かる地元の人に見てもらいたい」と話した。1年生の柴本奨さん(15)は「赤山地下壕の地層がきれいだった。今後、描いていけたら」と意気込んでいた。
同館は土日開館で、平日は10名以上の予約で見学可。入館料は一般200円、小中高生100円。問い合わせは同館090(3434)3622.
富崎の歴史と文化紹介
館山博物館きょうから新・地区展
(房日新聞2017.10.14付)‥⇒印刷用PDF
館山市立博物館できょう14日から、新・地区展「富崎—海と生きる人々—」が開催される。海の恵みを生活の糧としてきた富崎地区の歴史と文化財を紹介する。11月26日まで。担当学芸員による解説会、富崎地区を巡る歴史探訪も行われる。
市内10地区を順番に紹介しているシリーズの第6弾。今回取り上げた「富崎」は、太平洋に面した山際にあり、耕地が少ないため、海の恵みを糧としてきた漁村。東京湾の入り口にあることから江戸時代には首都防衛の役割も担ったという。
富崎の地名自体の歴史は新しく、明治22年に相浜村と布良村が合併した際に、天富命(あめのとみのみこと)が上陸した岬であるという安房開拓神話に基づいて名付けられたという。
展示では、地区内の神社、寺院が所蔵する文化財、漁業に関する資料、相浜、布良村の絵図など約80点を展示。展示品のひとつ富崎村役場写真は、大正から昭和初期に撮影された写真。現在の富崎公民館の場所にあった役場の当時の様子が見られる資料だ。
担当学芸員による展示解説会は28日と11月25日で、いずれも午後1時半から。入館料のみで参加できる。
富崎地区の史跡を巡る「わたしたちの町の歴史探訪」は29日午後1時から。25日までに申し込む。
入館料は一般400円、小中高生200円。月曜日休館。申し込み、問い合わせは、館山市立博物館(0470-23-5212)まで。
※案内チラシはこちら。
韓国TV局が活動を取材 安房文化遺産フォーラム 館山
海外の成功事例として
(房日新聞2017.10.13付)‥⇒印刷用PDF
韓国のTV局「OBSテレビ」が11、12日、館山市の「安房文化遺産フォーラム」(愛沢伸雄代表)の取材に訪れた。「エコミュージアムと地域活性化!」をテーマにしたドキュメンタリー番組の制作を進めており、戦跡をはじめとした地域の文化遺産を活用する海外の成功事例として紹介するという。
地域全体の資源を博物館として活用するエコミュージアムの取り組みは、韓国でも注目されはじめており、「館山まるごと博物館」として地域の自然遺産、文化遺産を保存、活用してまちづくりをする同フォーラムの取り組みに着目した。
韓国国内の取り組みに加え、海外の成功事例として館山のほか、国内エコミュージアム第1号の山形県朝日町でも取材をしているという。
館山を訪れたのは、ディレクターのチョウ・ビョンヨルさんら3人。取材班は、フォーラムのメンバーに活動内容についてインタビューしたほか、赤山地下壕などの戦跡、小谷家住宅などを巡って、文化遺産フォーラムの取り組みを丹念に取材した。
ディレクターのチョウさんは「韓国ではエコミュージアムの概念が定着しておらず、日本の活発な取り組みを紹介して韓国で広めるのが番組の狙い」と語る。
「韓国国内にも数多くの戦跡があるが、ネガティブなイメージから十分に活用が図られていない。平和学習に積極的に活用する館山の取り組みを視聴者に提示したい」と思いを話す。
愛沢代表は「市民が主役となって文化遺産を生かしたまちづくりが評価されたと思う。全国各地でさまざまな取り組みがある中、館山の活動に注目してもらい光栄。番組が韓国での市民中心のまちづくりにつながって、日韓相互のまちづくりの交流につながれば」と話していた。
【写真説明】韓国TV局の取材を受けるメンバー=館山市内で
※2017.12.30に放映されました。
00:00 イントロダクション
00:35 大原一興先生
(横浜国立大学都市イノベーション学科・日本エコミュージアム研究会会長)
00:58 京畿湾エコミュージアム
09:45 千葉県館山市「館山まるごと博物館」
19:41 20:48 千葉県館山市
22:49 京畿湾エコミュージアム (梅香里メヒャンリ)
コーヒーも慈善販売
館山のカフェ「ポラリス」、ウガンダ産豆を販売
(房日新聞2017.10.9付)
NPO法人安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄代表)のウガンダ支援企画で、館山市北条の焙煎工房カフェ「ポラリス」が、チャリティー販売をしている。31日まで。
ウガンダ産のコーヒーを特別限定で仕入れ。店頭で販売している。売り上げの一部を支援金に寄付するという。
問い合わせはポラリス(0470-23-2322)へ。
館山の海を愛したジャック・マイヨール
人生哲学伝えるメッセージ展、館山病院で
(房日新聞2016.9.9付)‥⇒印刷用PDF
館山の海を愛したジャック・マイヨールさんのメッセージ展が、館山市長須賀の館山病院ギャラリーで始まった。誰とも争わず、自然と調和するイルカのように生きようという人生哲学を提唱したマイヨールさん。「ジャックの思いを伝えたい」と親交の深かった同市坂田のダイビングショップ代表の成田均さん(69)が、書き留めていたメッセージを展示している。
マイヨールさん(1927年〜2001年)は、フランスのフリーダイバー。人類で初めて推進100メートルの素潜り記録を達成し、映画「グランブルー」のモデルとしても知られる。
「国籍の違う弟」と慕った成田さんとは30年以上の進行があり、晩年は成田さんとの縁で館山で暮らし、館山の海を愛した。
イルカを愛し、人間小の共存を訴えたマイヨールさんは、人間(ホモサピエンス)とイルカ(ドルフィン)からとった「ホモ・デルフィナス」という生き方を提唱。誰とも争わず、自然と調和してイルカ的に生きようというメッセージで、平和で自然と人間が共存する世界を思い描いた。
今回の展示は、マイヨールさんの理念を後世に伝えたいと、成田さんと「NPO法人安房文化遺産フォーラム」が主催。成田さんが書き留めたマイヨールさんの言葉の数々を、成田さんが直筆で紹介。写真パネルなども展示している。
「もし人間の思考と精神に、われわれの兄弟であるイルカたちのインスピレーションが少しでもあったなら、傷付けてしまった我々共通の惑星地球は、またパラダイスに戻ることができるだろう」
「すべての生命は母なる地球の子どもたちである。一番末っ子の一番能力のあるはずのわれわれ人間が、実は一番母親を傷つけているのではないだろうか」などマイヨールさんの世界観を感じさせるメッセージが数多く紹介されている。
成田さんは「ジャックは『人間だけが自分勝手でいいのか』と、利害にとらわれず、自然と生きるイルカの生き方を純粋な思いで実践してきた。ジャックの思いを純粋なこどもたちに伝えたい。将来的には理念を伝える『ジャックマイヨール記念館』を館山につくりたい」と思い出を語っている。展示は10月2日まで。
小谷家で作品展・東葛飾高校の美術部
(房日新聞2017.9.29付)‥⇒印刷用PDF
館山市布良の小谷家住宅「青木繁『海の幸』記念館」で、同市に毎年学習旅行に訪れている東葛飾高校美術部の作品展が開催されている。市内でスケッチした文化遺産の絵画が並べられている。10月末まで。
同高校の学習旅行は2012年から。1泊2日の日程で、安房文化遺産フォーラムの案内で市内の文化遺産を巡っている。
美術部メンバーはスケッチもしていて、今回は昨年訪れた部員5人が、小谷家をはじめ、波左間にある特攻艇「震洋」基地跡、掩体壕(えんたいごう)といった戦跡、布良崎神社などを描いた水彩画を中心とした作品を展示している。
宿泊場所でもある近くの安房自然村のホテルロビーには、美術部員の合同作品である青木繁の「海の幸」「わだつみのいろこの宮」の同寸大の模写作品も展示している。
海の幸記念館は土、日曜日開館で、維持協力金が一般200円、小、中、高100円。
【写真説明】展示された東葛高美術部員の作品=館山市「青木繁『海の幸』記念館」で
⇒※イベントの詳細はこちら。
ウガンダ平和へ支援を
活動車両購入資金募る
(千葉日報2017.9.23付)‥⇒印刷用PDF
館山市のNPO法人安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄代表)は、アフリカのウガンダで子どもたちの支援活動に使う車両の買い替え資金をクラウドファンディングで募っている。10月末までに、120万円を目標に集めたい考え。愛沢代表は「実際に取り組むことによって世界の平和を学んでもらいたい」と協力を呼び掛けている。
ウガンダは政情の混乱や内戦の痕跡が残り、現在も貧困が続く。市内では1994年当時、旧県立安房南高校教諭だった愛沢代表が平和教育の一環で同国の現状を紹介したのを機に、生徒がバザーや募金活動で支援に乗り出した。これらの成果で2001年には現地に洋裁学校が建てられ、同校のミシンを活用し職業訓練が行われている。
支援活動は市内の県立安房高校、私立安房西高校のJRC(青少年赤十字)部へと引き継がれ、23年にわたり続く。同法人も募金活動を担い毎年、文房具や生活用品を送る。
車両の買い換えが必要になったのは、現地の窓口として活動している団体「ウガンダ意識向上協会」のセンパラさんが、遠い学校への子どもの送迎や食料・生活用品・資材を運搬していた車両が故障したため。通常の活動では資金が集まる見込みがなく、初めてネット上で幅広く小口資金を寄せてもらうことにした。
寄付はサイト「Ready for」から3千から15万円の範囲で受け付ける。お礼としてウガンダの子どもからのメッセージカードなどを贈る。1万円以上の寄付者は購入車両に名前を掲載できる。
愛沢代表は「一緒に生きるための交流として関わりを持ち、平和を次世代に引き継ぐ意識を持って」と話している。
画家と周囲の思いひとつに
闘病の大山晃一さん 地元で初の個展
ウガンダ支援へ協力し 慈善でギャラリー葉葉
(房日新聞2017.9.20付)‥⇒印刷用PDF
油絵の気鋭画家として活動、温暖な館山市に移住し、さらなる創作の意欲に燃えていた矢先、持病の悪化で入退院を余儀なくされた画家の個展が、同市北条のギャラリー葉葉で開かれている。画家本人はがんにかかり、館山では絵筆を握れない状態。それでもNPO法人のウガンダ支援に共鳴し、これまで描いてきた作品をチャリティで出展。画家との思いと周囲の思いがひとつになって、「画心一途 八十翁(おきな)」の異例の展示が始まった。
新潟県生まれの大山晃一さん(80)。幼年期に千葉県習志野に住み、千葉東高から日大芸術学部へ。独自で絵画を学び、太陽美術会展やフランスの公募展などに出展。パリへの短期留学もし、デッサンに励んだ。
1990年ごろから、個展中心とした活動に。県内外で個展を開催し、新塊樹社展会員に。千葉県展会員にもなり、精力的に創作活動に取り組んだ。
温暖な館山を創作活動の拠点にしようと、2008年に移住。その2年後に、糖尿病の悪化と脳血管障害で入退院を余儀なくされる。2016年にはがんが判明。現在はショートステイを利用しながら、自宅と施設でのんびり過ごす。
創作の場を求めての移住だったが、結果として館山での作画はできなかった。館山での個展もかなわず、せっかく求めた移住先で、館山の一部しか知らないまま過ごしていた。
偶然知り合った文化活動に詳しい仲野さんが橋渡しし、仲野さんが知人である岩村姫美代さんがオーナーを務めるギャラリー葉葉での個展を開くことに。NPO法人安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄代表)が、ウガンダ支援の活動を続けていることにも共鳴し、絵を通常価格の8〜9割引きという異例の値段で売却し、それをそのままウガンダ支援に役立ててもらおうと決めた。
作品は全部で60点ほど。静物や花、女性を描いた油絵で、独自のタッチが見る者の心をつかむ。価格もF8号で2万円前後と破格だ。
個展はその作品群から「バラと女と、」と命名された。10月3日まで(水曜休館)の午前11時から午後5時まで。
恵美夫人(75)は「館山の一部しか知らなかったが、こうして、初めての個展を開くことができて、幸せ。売れるかどうか分からないが、一枚でも売れてウガンダ支援の役に立ちたい。仲野さんや岩村さんに出会えたこともうれしい。和やかなギャラリーで、作品と一緒に本人(晃一さん)がここにいるような感じを受けると感慨無量だ。
問い合わせはギャラリー葉葉(0470-22-6842)へ。
日曜美術館
魂こがして、青木繁〜海を越えた「海の幸」と石橋凌との対話
「日曜美術館」公式サイト
『NHKステラ』‥⇒印刷用PDF
何ものにもとらわれない魂の絵—
画家・青木繁の作品世界に俳優・石橋凌が迫る
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天才と称されながら、波乱の生涯を歩み、28歳という若さで亡くなった画家、青木繁(1882〜1911年)。福岡・久留米の没落士族の家に生まれた青木は、幼少期から芸実に強い興味を持っていた。東京美術学校に入学すると、その才能が花開き、日本の神話に着想を得た作品「黄泉比良坂(よもつひらさか)」で華やかな画壇デビューを飾る。卒業後は、千葉の房総半島にある布良(めら)に滞在。そこで制作したのが、代表作「海の幸」だ。荒い筆致と繊細な描写を織り交ぜて描かれた、獲物を担いで歩く男たちの姿には、生命に対する賛美があふれている。
そんな青木の絵に深い思い入れを持つのが、俳優でミュージシャンの石橋凌だ。青木と同じ、福岡・久留米出身の石橋は、子どものころ、緞帳(どんちょう)に刺繍(ししゅう)された「海の幸」に強い衝撃を受けた。それから50年余り、還暦を過ぎた今、再び青木の作品に心を動かされているという。石橋は、彼が絵に込めた思いを感じるため、故郷の久留米や、現在青木の展覧会が行われているフランス・パリのオランジュリー美術館を訪問。その作品世界と激動の人生を見つめる。