【房日】171029*旧安房南高木造校舎一般公開に多くの市民

旧安房南高木造校舎一般公開に多くの市民

木造建築の伝統美に感銘

(房日新聞2017.10.29付)‥⇒印刷用PDF

県指定有形文化財の旧安房南高校木造校舎(館山市北条)が28日、一般公開された。多くの卒業生らが訪れ、県教委文化財課職員の説明を聞きながら校内を巡り、学生時代を懐かしんだ。

木造2階建ての同校舎は、関東大震災後の昭和5年に竣工。日本古来の木造建築と新たに伝わった西洋建築を融合させたつくりが特徴。当時の最新技術で建てられ耐震性にも優れている。

平成7年に県指定有形文化財に。現在校舎は、今年のノーベル文学賞受賞者、カズオ・イシグロ氏の長編小説をテレビドラマ化した「わたしを離さないで」など、映画やドラマのロケなどで活用されている。

一般公開は、郷土の文化財の理解を深めるとともに、文化財を活用したイベントとして県教委と安房高が毎年実施。校舎を地域の誇りとして継承しようと今年10月に発足した「安房高等女学校木造校舎を愛する会」(佐野ふさ子会長)が、公開に向けて除草や掃除などの整備で協力した。

この日は、同課職員によるガイドツアーを2回実施。左右対称につくられた外観、玄関扉上のダイヤ形のレリーフ、耐震性のある天井や梁(はり)、装飾のある柱や手すりなどの説明があり、参加者らが熱心に耳を傾けていた。

また、校舎内に開設された古い写真を並べたギャラリーでは、多くの卒業生が写真を眺め、学生時代に思いをはせた。

ぬか雑巾の体験や安房高書道部、写真部、美術部の作品、書道パフォーマンス、吹奏楽部による演奏も行われ、参加者らを楽しませた。

昭和22年に前身の安房女子高校を卒業し、54年から7年間、安房南高で教諭として勤めた高橋澄子さん(85)=館山市=は「学生時代は戦中、戦後で大変だった。登下校や学校生活、クラスメートの顔が思い出されて懐かしい」と、在学当時からの仲間と思い出話に花を咲かせていた。