【房日寄稿】140722*青木繁《海の幸》フォーラムへのお誘い

青木繁フォーラムへのお誘い

青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会

(房日新聞2014.7.22付)

今年は、画家・青木繁が房州布良を訪問し、《海の幸》を描いてから110年目にあたります。その節目に念願がかない、青木繁《海の幸》誕生の家・小谷家住宅(館山市指定文化財)の修復工事が始まることになりました。小さな漁村のまちづくり活動として10年の取り組みになりますが、この間、多くの皆様にご支援をいただいてきたことを心より御礼申し上げます。

まず、小谷家のご家族におかれましては、私有財産にもかかわらず「地域活性化と日本の美術振興に寄与できるなら、古い我が家をどうぞ使ってください」というご英断をしてくださいました。これから2年間の修復工事が終われば、平成28年春に築120年の母屋がよみがえって一般公開に供することになります。ご家族の住居は物置を増改築した小さな建物に移っていただき、たいへんなご不便をおかけいたします。改めて感謝と敬意を表するとともに、市民の皆様にも深くご理解いただきますようお願い申し上げます。

また、平成22年に発足したNPO法人青木繁「海の幸」会におかれましては、大村智理事長様をはじめ全国の著名な画家や美術関係の皆様が、小谷家住宅の修復基金のために力を尽くしてくださっています。東日本大震災で寄付が困難になりましたが、全国巡回で青木繁「海の幸」オマージュ展を開催し、売上の一部はチャリティ基金と納めてくださっています。オマージュとは尊敬を意味するフランス語だそうですが、青木繁《海の幸》誕生の聖地として小谷家住宅を後世にのこしたいと思ってくださることは、館山市民として本当に有難いことと感謝しております。3年目となる平成26年のオマージュ展は、銀座・京都・福岡・田園調布と並んで、たてやま渚の博物館と館山市コミュニティセンターを会場に館山展が開かれます。ご高名な先生方の作品が一堂に会するばかりでなく、伝統ある館山美術会の皆様が協賛される素晴らしい機会として、多くの皆様にご鑑賞いただけることを嬉しく思っています。

小谷家住宅の保存事業はまだ道半ばでございますが、館山市ふるさと納税(非課税となる寄付制度)や名画の購入を通じて、引き続きご支援を呼びかけているところです。日本を代表する青木繁《海の幸》の力を借りて館山の地域ブランドに磨きをかけて、子どもたちの未来に誇りを手渡せるよう、末永くお力添えいただけますよう重ねてお願い申し上げます。