【東京】250822_赤山地下壕跡で学ぶ戦争

<つなぐ 戦後80年>

赤山地下壕跡で学ぶ戦争
地元NPO、文化遺産へ保全と活用

(東京新聞千葉版 2025.8.22.付)

戦後80年の節目に、千葉県館山市指定史跡の赤山地下壕跡(同市宮城)を、多くの人が学びに訪れている。地下壕の保全と活用の経緯は、戦争遺跡を地域の文化遺産として継承する先行事例としても、全国から注目されている。(堀場達)

継承への先行事例 全国から注目

赤山地下壕は、旧館山海軍航空隊(現海上自衛隊館山航空基地)に近い、通称「赤山」(標高60メートル)の中に掘削されて、残されている。

保全運動や研究を進めてきたNPO法人安房文化遺産フォーラムなどによると、地下壕は把握できているだけで全長約1・6キロにわたる。航空機開発のための長距離通信機や発電所など、高い技術の設備があったと考えられている。

16日には「女性支援法を活かす会」(事務局・東京都国立市)の会員16人が訪れた。フォーラム共同代表の池田恵美子さんらの案内で、地下壕や軍用機を空襲から守るための掩体壕(えんたいごう)を見て回った。池田さんは地下壕の歴史的価値とともに、史跡指定などにつなげた保全の市民運動について説明した。

活かす会が館山を訪れた主な目的は、近くにある女性自立支援施設「かにた婦人の村」の視察と、前日の終戦の日に「噫従軍慰安婦」の碑前で営まれた慰霊祭への参列だった。ただ、メンバーの1人で東京都八王子市議の金子亜希子さん(48)は「実は八王子にも地下壕があり、保全活用していくため、赤山を参考にすることも訪問目的」と明かした。

金子さんや元同市議の陣内泰子さんによると、八王子に残されているのは秋川地下壕という旧陸軍の施設。重要拠点として築かれ「しっかりした造り」の赤山と異なり、大戦末期に急造された面があるという。2人は、「保全状態など課題はあるが、後世に伝えていくため、赤山のケースを勉強したい」などと意欲を見せた。

◆平和願いギター演奏 26日、県立安房高生

赤山地下壕跡の入り口近くで26日午後2時から、地元の県立安房高校のギター部員が、平和への願いを込めた曲目を演奏する。館山市教育委員会が戦後80年事業の「赤山×音楽」として企画した。

次世代に戦争の記憶を継承していくとともに、シビックプライド(まちに対する誇りや愛着)を醸成することが目的。当日は部員25人が参加し、20分ほど演奏した後、市職員の案内で壕を見学する予定だ。

演奏の観覧は無料。入壕料は一般200円、小中高生100円。