【房日】250610_映画「世界一の夕陽と生きる」試写会開催

映画「世界一の夕陽と生きる」
試写会開催 定員300×3回すべて満席

(房日新聞 2025.6.10.付)

館山市南部の富崎地区を主な舞台にしたドキュメンタリー映画「世界一の夕陽(ゆうひ)と生きる」の試写会が8日、同市の県南総文化ホール小ホールであった。3回設けたいずれの上映回とも、定員300が満席になる盛況ぶり。監督の金髙謙二さん(69)は「多くの人に評価していただき、感激した。全国各地で上映できるよう努力したい」と話していた。

この日の試写会では、上映開始を (1)午前10時半 (2)午後2時半 (3)午後5時半の3回設定。(1)に向けては、午前9時前から観覧希望者が来館し始め、予定を45分早めて午前9時15分から整理券の配布を開始したが、午前10時前には用意した300席分が全てさばけた。(1)(2)とも150人ほどが整理券を手にできず、それぞれ希望回を繰り下げてもらった。

いずれの回も、上映終了後には客席から大きな拍手が湧き起こり、見た人たちが出来栄えを高く評価したことがうかがえた。

映画は、富崎地区で生きる18組の住民や家族などが主人公。それぞれが個別インタビューに答える形で、周りの人や地域との絆と結びつきの強さ、家族や地域への愛情などを口々に語る。

それらの声に、南房総市在住のカメラマン、小出一彦さん(73)撮影の夕日の写真や、祭りの光景、登場人物が周囲の人々と関わる姿、海や山の豊かな自然など、金髙さんが妻のひろみさんと約1年にわたり取材・撮影してきた映像を織り込み、画面が展開される。ハープの音色を基調とする美しい音楽が映像に彩りを添え、効果的に演出する。

5年前に神奈川県から夫と鋸南町に移住した女性(70)は、映画を見て「生きる勇気、力を分けてもらった。共感する部分がとっても多かった」と感激した表情。富崎地区の別荘で週末を過ごすという、東京都台東区の古茂田ゆき子さんは「人が生きる意味を教えてもらったような気がする。映像もきれいで(スクリーンを見ながら)涙が出ました」と話した。

金髙さんは、3回の上映後、いずれも舞台あいさつに立ち、国立館山海員学校(現館山海上技術学校)の学生として青春時代の2年間を館山で過ごしたことや、父が現在の鴨川市出身であることなど、自身と安房地域との関わりを披露。試写会に足を運べなかった知り合いなどに「映画の出来栄えと良かった点を伝えて広めてほしい」などと呼び掛けた。

金髙さんは試写会を終えて、「希望の上映回に入れなかった方には申し訳ないことをしたが、これほど多くの人に期待してもらっていたのだと思うと、今後の映画作りの励みになる」と手応えを得た様子だった。

試写会は、28日にも市内の房南小学校体育館で午前10時半と午後2時からの2回、行われる。それぞれ定員200。入場無料で、各上映回の30分前から整理券を配布する。

金髙さんによると、今のところ千葉市など県内や関西地方の映画館での興行上映に向け、関係者と調整しているという。

(斎藤大宙)