【赤旗】221208_東京湾要塞の戦跡群~赤山地下壕

房総半島南西、東京湾入口に位置する千葉県館山市。アジア・太平洋戦争中、首都・東京を守る東京湾要塞の拠点だった館山には、多くの戦争遺跡があります。

関東大震災(1923年)で隆起し、浅瀬になった館山湾を埋め立て、30年に館山海軍航空隊(館空=たてくう)が開隊しました。通称「陸の空母」と呼ばれ、艦上攻撃機の離着陸訓練や海軍初の落下傘部隊の降下訓練などが行われました。現在は海上自衛隊館山航空基地として使用しています。

その南側の小高い丘に、総延長2km近く網の目状に掘られた赤山地下壕跡があります。ヘルメットを被り懐中電灯を手に、一般公開されている250mほどを見学しました。説明板を読みながら奥へと進むと、壕内には発電所・応急治療所・航空機部品格納庫などがあったようです。御真影を安置した奉安殿もありました。

凝灰岩質砂岩の壁面には、丁寧に掘られたツルハシの跡が鮮やかに残っています。館山は国内で最も隆起の速度が速いといわれ、見事なバームクーヘン状の地層や断層なども観察でき、貴重な地質遺産でもあります。

平和学習の普及に取り組んでいるNPO法人安房文化遺産フォーラム共同代表・池田恵美子さんは「赤山地下壕については資料がほとんどなく詳細は不明ですが、日米開戦前から掘っていたという重要な証言があります。館山は本土で唯一直接軍政が敷かれた地であり、壕内の壁面には占領軍が書いたと思われるUSAの朱文字が残っています。壕内にある五右衛門風呂は、戦後に長く住んでいたキノコ研究者のものですが、その方は元731部隊員でした」と、案内してくれました。

NPOでは、毎月第1日曜の午前に、個人や小グループを対象とした赤山地下壕ガイドサービスを行っています。10名以上の団体向けには、事前予約でスタディツアーもあります。

池田さんは、「館山は戦跡だけでなく、江戸期建立のハングル四面石塔や従軍慰安婦の碑など、平和の文化を学ぶ史跡がたくさんあります」と語ります。

地下壕跡近くには、空襲から戦闘機を守るコンクリート製の掩体壕(格納庫)も1基残っています。上空を自衛隊のヘリコプターが、爆音を立てて飛行しています。ちょっと心がザラつきました。

 夜、地魚で一杯やりました。ナメロウ(アジのたたき)が美味でした。館山では海越しに美しい富士山が見えるそうです。