【房日寄稿】190713*青木繁の生誕祭

海とアートのまるごと美術館

青木繁の生誕祭

小谷福哲  <青木繁「海の幸」記念館館長・小谷家当主>

(房日新聞:寄稿2019.7.13付) ⇒印刷用PDF

青木繁作品の所蔵者である東京駅前のブリヂストン美術館が建て直され、来年、「アーティゾン美術館」と改名してリニューアルオープンします。東京五輪もあり、青木繁「海の幸」は国際的にも注目が高まるだろうと考えられています。青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会では、海とアートのまるごと美術館として、まちづくり活動に取り組んでいます。

きょう7月13日は青木繁の誕生日です。明治37年、22歳を迎えた2日後に、仲間と4人で写生旅行に館山を訪れ、布良のわが家に約40日滞在しました。そのとき描かれたのが、重要文化財「海の幸」です。

小谷家住宅は館山市指定文化財となり、全国の画家の皆さまと一緒に募金活動を展開し、青木繁「海の幸」記念館として開館しました。通常は土日のみの公開で、平日は団体予約となりますが、3年間で8000人の方が来場されました。千葉県民の投票により「ちば文化資産」にも選定されています。

記念館では、きょう13日から海の日(15日)までの3連休を生誕祭として公開します。来場者には手作りのトコロテンや紫蘇ジュースをサービスし、青木繁の誕生日を皆さんとともに祝いたいと思います。

また、渚の駅たてやま2階ギャラリーでは、きょう13日から9月1日まで、「館山の海を愛した画家たち展」を開催します。青木繁の同寸大の複製画をはじめ、寺崎武男・倉田白羊の原画などを展示紹介します。

初日の13日には10時半から、島田吉廣さんが「複製画制作から見える青木繁が描く波」について解説をします。ダイナミックなギャラリートークを聞き、実際に絵画を鑑賞した後、布良の青木繁「海の幸」記念館へ足を運んでいただければ幸いです。

翌週の20日は布良崎神社の祭礼です。青木繁が感動し「海の幸」のヒントになったと思われる布良の神輿もぜひご覧ください。特に夕方の布良漁港では、夕陽が神々しく、おすすめです。

また、女子美術大学付属中学139名が6月にスケッチツアーで来訪し、布良を描いた作品展を、青木繁記念館と千里の風と安房自然村で27日からおこないます。

この夏は、海とアートのまるごと美術館をお楽しみください。