【読売】150401=館山の戦跡伝え続け10年
館山の戦跡伝え続け10年、地元のNPO
無料でガイド案内3000人
(読売新聞2015.4.1付)
館山市指定史跡「館山海軍航空隊赤山地下壕(ごう)跡※」で地元のNPO法人「安房文化遺産フォーラム」(愛沢伸雄代表)が行っている無料ガイドが、今年で10年になった。毎月第1日曜日の活動で、これまでに案内を受けた来場者は約3000人に上る。戦後70年の今年はその数もさらに増えそうだ。
赤山地下壕は戦後ずっと放置されており、人が住み着いてキノコ栽培は行われた時期もあった。一級品の戦跡価値に気づいた愛沢さんが、2002年頃から保存運動としてガイドを開始。04年に保存に賛同する仲間らと同フォーラムを発足させ、ほかにも市内に残る洲ノ埼海軍航空隊射撃場跡や館山海軍航空隊掩体(えんたい)壕などの戦跡をめぐるツアーガイド(有償)を始めた。
赤山地下壕で無料ガイドが始まったのは、市史跡に指定された05年から。もっと市民に関心を持ってもらうのと、メンバーのガイドの実地訓練のためだった。市が管理する壕への入場は有料だが、ガイド料は無料で受けられる。個人や団体などの希望者は平均20〜30人、多いときには50人もあつまる。いくつかの班に分かれて、同フォーラムのガイドが30分から1時間かけて壕の内部を案内する。
若手ガイドの館山市の女性会社員(40)は「戦争体験がない難しさはあるが、だからこそ勉強の場になる。地元の人が赤山に関心をもってくれた時が最高にうれしい」とやりがいを語る。
愛沢さんは「負の遺産と言われていた壕が、市の史跡になり、文化財としてまちづくりにいかされるようになり、感慨深い」と、10年を振り返る。
※館山海軍航空隊 赤山地下壕跡‥‥
全長1・6キロの全国的に見ても大きな防空壕で、館山市を代表する戦争遺跡。終戦の日まで工事が続いたとされる。旧館山海軍航空隊の基地司令部や発電所、病院などが計画され、一部使用されていた。市の所有で、入壕料は一般200円。