【房日】100720=「桜花」基地跡で専門家調査

「類例のない貴重な遺跡」
南房総「桜花」基地跡で専門家
市民団体が調査

(房日新聞 2010.7.20.付)

南房総市の市民グループ「南房総・平和をつくる会」(八木直樹代表)が18,19の両日、文化財保存の専門家である十菱駿武・山梨学院大学教授(考古学)を招き、同市下滝田にある旧海軍の航空特攻兵器「桜花」基地跡の測量調査を実施した。
同会が目指す、基地跡の文化財指定に向けた、第一歩となる作業。今年3月に一部崩落が確認されたコンクリート製カタパルト(発射台)の、持ち土部分などの緊急補修も合わせて行った。
同会ではこれまで、現地を保存する目的で定期的に草刈り作業を行ってきたほか、カタパルト部分の簡単な測量を実施。今回は ①カタパルト部分をより詳細に記録した20分の1縮尺の図面づくり ②格納庫跡があるとみられる周辺部分を含めた、100分の1の測量図作成-に取り組んだ。
作業に先立ち、十菱教授は18日午後、滝田公民館で「戦争遺跡を考古学からみる」と題して約1時間講義。同教授がこれまでかかわってきた長野県南アルプス市の「ロタコ(御勅使河原飛行場)」跡の調査事例などを紹介しつつ、「戦争遺跡は全国で250か所で、数は決して多くない。適切な調査を行い、(戦争)体験者の記録もできるだけ早く行っていくことが必要」と指摘した。
また下滝田基地跡の遺構については「カタパルトに開いている穴には縦方向の枕木が入り、その上で横の枕木と鋼鉄製のレールが敷かれたと考えられる」と説明。「類例がない貴重な遺跡で、資料さえ調えば文化財となる十分な資格がある」とじゃたった。