6/12=癒しの海辺のまちづくりシンポジウム第二弾
・日時=2010年6月12日(土)14:00〜16:30
・会場=南総文化ホール 【大ホール】
・参加費=500円
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■ゲストスピーチ*まちづくり事例紹介■
◇石神正義氏=(東京都中野区副区長)
テーマ:「中野サンプラザの立て直しと里・まち連携」
1948年館山市生まれ、安房高校出身。東京都職員・中野区総務部長を経て中野区副区長へ。若者に人気のあった中野サンプラザ立て直しの立役者として、㈱中野サンプラザと㈱まちづくり中野21の代表取締役社長を兼務している。東京都中野区・千葉県館山市・長野県中野市・山梨県甲州市等の「里・まち連携」を促進し、館山の一次産業と都会の消費者を結ぶ交流事業も展開。現職引退後は豊かな経験を活かし、館山で自ら農的暮らしを実践しながら、さらに交流を深める予定。
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◇矢野学氏=(新潟県上越市議会議員、旧新潟県安塚町長)
テーマ:「心の過疎をつくらないまちづくり」
旧安塚町総務課長を経て、町民に推されて同町長へ。住民の重荷だった豪雪を資源ととらえ、雪の冷房化や「雪の宅配便」の商品化など、ユニークなまちづくりをすすめた全国有数の名物町長。全国に先駆け、まちぐるみで教育旅行の受け入れを実践。また日本一の大合併時、公共サービスの低下を防ぐため、行政に代わる存在として全町民参加型のNPO法人を設立し成功。
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■パネル討論会■
「立て直そう館山!まちづくりを語ろう」
◇石神正義氏…東京と館山の経済交流で雇用創出の架け橋。
◇矢野学氏…マイナスをプラスに、逆転の発想カリスマ。
◇大島博幸氏…農的暮らしを実践している館山病院総長。
◇平本紀久雄氏…さかなクンの師匠、イワシ研究の第一人者。
◇伊東万里子氏…人形劇『新八犬伝』で里見文化を発信。
○コーディネーター…池田恵美子
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【主催】「立て直そう館山!」全市民の会(代表世話人:愛沢伸雄)
【協賛】博道会館山病院、安房の地域医療を考える市民の会、NPO法人全国生涯学習まちづくり協会
【問合せ】NPO法人安房文化遺産フォーラム0470-22-8271
≪主催者挨拶:愛沢伸雄≫
皆さん今日は。今日のシンポジウム開催に際して、市内ではさまざまな催しのある土曜日の午後、お忙しいなかをこのように多数ご参加いただき深く感謝申し上げます。
「『立て直そう館山』!全市民の会」の呼びかけ人で、NPO法人安房文化遺産フォーラム代表の愛沢伸雄です。日頃温かいご支援ご協力をいただき誠にありがとうございます。この場をお借りしてお礼申し上げます。
さて、本日シンポジウム開催の経緯と趣旨をお話いたいと思います。私は2008年の始めに看護学校が閉鎖される話を聞きました。
ご承知のように千葉県は全国的で2番目に高齢化が進行しているだけでなく、なかでも安房地域は30%を大きくこえる長寿社会になっています。安房医師会などで長年総合検診などに取り組んできたことで長寿社会が実現し、地域医療も充実した地域といわれています。
だが、看護師不足などに端を発した安房医師会病院の委譲などのさまざまな問題が生まれましたが、他地域では病院が閉鎖に追い込まれるなどいわゆる医療崩壊をおこし大変な問題になっているのはご承知だと思います。そのようななかで極めて身近な医療のことではあっても、私たちは医療従事者などの現場のことを意外と知らないということがわかりました。
そこで地域医療と看護師不足問題を考えるため、2008年11月に安房医師会のご支援もいただきながら医療従事者と市民たちが集って、その現状を勉強しはじめました。今年に入って3月には1000名を超える方々が集まり、戦後「豪雪・貧困・多病多死」を乗り越えていった岩手県の沢内村の取り組みを描いた映画「いのちの山河」の上映会を開催し、4月28日には「多病多死」を克服していった沢内村で、10数年にわたって地域医療に取り組んできた加藤邦夫医師を招き、第1回の「癒しの海辺のまちづくり」を開催しました。
加藤医師の講演では、高齢者が生涯現役で働ける生きがいのある沢内村を実現するために「口さきで理想を語るだけでなく、極めて貧しい村の財政のなかで村長と住民が対話を重ねながら、住民の協力を得て、乳児と60歳以上の医療費全額公費負担で一時的に医療費が増えたものの、結局は健康増進と病気の予防対策に積極的に取り組んだ結果、疾病率が減少し保険料は下がり医療費も減るとともに、全国初の乳児死亡率ゼロにした」との感動的なお話をうかがいました。
私は加藤医師が地域の人びとの力を借りながら、地域にはどんな課題があるかを徹底的に調べ、そのうえでその課題を解決してうえでの「行動プラン」を作り、実践と検証を繰り返しながら、よりよい地域医療のあり方を行政と医療者、そして住民たちがともに手をたずさえていった結果であったということを学びました。
安房地域においても沢内村の取り組みを参考に、40年前から安房医師会や地域コミュニティの人びと、関係行政機関の協力によって、全国的に高い評価をされた安房方式という「総合検診」が始まったといわれています。
このように医療が充実していると思われてきたこの安房地域においても、昨年、地元紙において地域医療問題や看護師問題の特集が組まれ、大きな関心を呼びました。安房地域には基幹病院として「世界的な医療機関の認証」を受けた大きな民間病院が存在していますが、その病院においても看護師不足は極めて切実な問題となっており、先におこなわれた館山市民意識調査においても、まちづくり施策のなかで力を入れてほしい項目が「医療の充実」であり、半数近くを占め、第1位でした。
この間、私は安房の地域医療を考える市民の会を呼びかけたものとして、安房地域の医療の実情を訴えるため、総務省の医療政策担当者に手紙を出したり、先に学校法人鉄蕉会が開催した「地域における医療者育成を考えるシンポジウム」にうかがい、講演者であった文部科学副大臣に要望書を直接、手渡しました。
また、この3月には、3市1町の首長や安房医師会長などが構成メンバーになっている千葉県保健医療施策の検討機関である「安房地域保健医療協議会」の皆さん宛に要望書を出し、行政にも言葉だけではなく具体的な行動に移してほしい旨や、看護師問題への取り組みに真剣になってほしい旨を要望しました。
このような地域医療問題の経緯のなかで今日の第2回のシンポジウムがありますが、地元新聞の取材の際に、私は「安房の地域医療を考える市民の会を立ちあげ、医療従事者と市民サイドの対話の場をつくってきたものの、館山市政には危機感がまったくない。悪化する財政問題も含め、いま市民が関心をもつことが重要だ」と話すともに、市民たちがまず医療問題はじめ地域課題をしっかり勉強し、解決していく道筋を市民の立場から考えて行動する「市民の会」の立ち上げを話しました。
スローガン的に理想を語る口先だけの市政ではなく、高齢社会がすすむ地域社会のなかで、市民が支えあう社会をどう作っていくかを問い、行政や市民が協働するなかで、課題を解決していく、真に市民が主役になるまちづくりを願っています。
その私のもっている課題意識を受けとめていただいたのが、本日シンポジウムにお招きしたお二人です。
東京都の中野区副区長である石神正義さんとは看護学校問題で、那古の諏訪山の中腹にある現在閉鎖されたままの中野健康学園の活用の可能性があるかどうかをうかがうために、はじめてお会いしました。私たちが看護学校問題で困っている現状について、本当に真剣にお話を聞いていただきました。館山の出身で金丸謙一市長とは同級生であり、安房高を卒業後、都庁に入り、その後中野区の人びとと密着した現場からたたき上げで中野区の副区長になった方で、本日の朝日新聞にも取り上げられている「里・まち交流」の仕掛け人でもあります。石神さんはそれだけでなく、中野区の赤字財政を立て直し、中野サンプラザの社長として、サンプラザを再建した、まさに「財政再建のプロフェショナル」であることを知りました。私たちのそばには、このような実力ある著名な行政マンがいたのです。
一方の矢野学さんは、一昨年も私のNPO主催の「元気なまちづくり市民講座」の講師として館山にきていただきましたが、ご案内のような全国のまちづくりの仕掛け人であり、全国的にご活躍されている国交省観光カリスマの一人であります。
私のまちづくりの指南役で、六月に入り新潟県上越市議会の開催中でとてもお忙しいにも関わらず、本当に無理をお願いして、来ていただきました。本当に嬉しく思っています。
マイナスの「豪雪」をプラスにしたかたで、戦争遺跡の「赤山地下壕」だけでも、「市役所のなかに一つの課をおいて、お金儲けができさまざまな仕掛けができるね。どうして行政はやらないのかな」と私におっしゃた方です。
安房出身の教育学者和田修二先生は「人間は現在だけでなく、過去と未来との間に生きる存在」なので、「過去に守るに価する大切な思い出をもつこと」「未来に向かって為すべき課題をはっきりと自覚すること」によって、今を生き抜く希望と勇気の支えとなるので、この二つを「大人の世代が日常生活の中で身をもって若い世代に教えていくこと」がいま私たちには大切であるといいました。
私はいま自分たちの頭で考えて、借り物でない確かな自己の立場と志をもって、次世代の人びとが願っていくであろう「市民が支え合う社会」をつくっていくために、全国にお住まいの館山市出身の方々の力もお借りながら、全市民の力によって館山市をよりよくするために取り組んでいきたいと思っています。
その第一歩である「立て直そう館山!全市民の会」の活動にご賛同をたまわり、是非ボランティ活動にもご参加いただければ幸いです。
お手元には、アンケートが渡っていると思いますが、市民マニフェストづくりのスタートになります。恐れ入りますが、お帰りの際、あるいはお帰り後もFAXなどでご協力いただき、今後すすめていく活動に皆様の声を活かしてまいります。どうかよろしくお願いいたします。
本日はこのように多数お集まりいただき本当にありがとうございます。最後までよろしくお願いいたします。