【房日】091110*鈴木政和さんのミニ博物館

房日新聞2009.11.10付

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米国でのアワビ漁伝える資料 鈴木さんがミニ博物館
南房総千倉 別宅改造し収集資料展示

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明治から昭和にかけて、アメリカのカリフォル二ア州モントレーに渡り、アワビ事業を開拓した南房総市千倉町のアワビ漁師たちを、写真や文章などで紹介した「まちかどミニ博物館」が、同市千倉町千田の民家にお目見えした。NPO法人安房文化遺産フォーラムの副代表を務める、同市千倉町千田在住の鈴木政和さんが、別宅の内部を改造してオープンさせた。今後、土日曜日と祭日に開き、一般の人たちに見てもらう。無料。

明治30年から昭和16年まで、器械式潜水漁の先駆者である小谷源之助・仲治郎兄弟ら南房総のアワビ漁師たちは、アメリカのモントレーに渡り、アワビ漁を始めた。

その多くは、千倉町千田地区の人たちで、アワビのステーキや缶詰などを紹介し、アメリカの食文化に影響を与えたという。

その後、日系人排斥運動が起きるが、潜水技術が評価されたアワビ漁師たちは、その後も渡米を許された。しかし日米開戦とともに、それまで続いたアワビ漁の歴史は幕を閉じることになった。

近年になり、こうした歴史が日米双方から明らかになり、親戚がアメリカでアワビ漁をしていたという鈴木さん自身も2003年ごろから独自に調査。房総の潜水器漁の歴史がつづられた本などを参考にし、地元で聞き取り調査をしたり、関連する当時の写真や資料を借りたりし、少しずつまとめた。

ミニ博物館は、千倉地区から白浜地区方面に向かい、市立七浦小学校入り口手前にある信号機近くの国道410号脇の民家。道路側の入り口脇に「まちかどミニ博物館」の看板のほか、「ちくらあわび塾」「安房地区9条連」の看板も並ぶ。

内部は、太平洋を渡った南房総のアワビ漁師たちを、表にしてそれぞれ紹介。またモントレーで撮影されたアワビ漁やアワビの加工工場、アワビ漁の様子などの写真も多数展示した。

また現地で小谷仲治郎たちが世話になった大地主、アレキサンダー・マクミラン・アレン氏の牧場風景や、千田地区の長生寺で行われたアレン氏の追悼供養の写真、アワビ漁に関連する書籍などが並ぶ。

このほかに、小谷仲治郎の世話によりアメリカに渡り、後にハリウッドスターとして活躍した早川雪洲が出演した映画「戦場にかける橋」などの映画が視聴できる、ミニシアターコーナーも設けた。

同文化フォーラムは、街そのものをミュージアムにしようという「まちかどミニ博物館」構想を検討しており、この一環として鈴木さんが中心になり同博物館を開館。今後、これまでに何度か試験的に実施した、アメリカに渡ったアワビ漁師たちの生家を巡る「アワビ街道めぐり」の本格稼動に向け、この見学地の1か所として、コース内に組み入れたいと考えている。

「アメリカに渡り、アワビ漁を紹介した人たちが、地元にいたことを、多くの人たちに知ってもらいたい。ここを訪れた人たちが興味を抱き、新たにアワビ漁師に関する情報や資料を提供していただければ幸いです」と鈴木さんは話している。土日と祭日の午前9時から午後5時までオープン。詳しくは鈴木さん(090—5812—3663)へ。