【房日】090905=64年前の米軍上陸フィルム上映会に100人来場

64年前の米軍上陸撮影フィルム上映会に100人来場

「当時の自分が映ってた」元国鉄職員の白坂さん驚き

(房日新聞2009.9.5付)

終戦間もない昭和20年9月3日、館山に上陸した米占領軍の様子などを記録したフィルムの上映会が3日、館山地区公民館であった。上陸日にあわせて、NPO法人「安房文化遺産フォーラム」(愛沢伸雄代表)が企画。定員を上回る約100人が詰め掛け、貴重な資料に見入った。当時の目撃者、証言者を募ることが狙いだったが、実際にフィルムの中に映る本人が来場者として姿を現すなど、主催者側にとっても収穫の大きい上映会となった。

愛沢代表が入手した米公文書館に保管されていたフィルムの一部。米軍が撮影したフィルムで、米軍の館山への上陸のようすや館山駅で列車に乗り込む姿、上陸を見守る地元住民らの模様が収められている。一般向けに初めて公開した。

上映会では、大型画面に当時の様子が映し出され、愛沢会長がそれぞれの場面について解説。船形の山々や高の島が背景に映る上陸のシーンでは、「みなさんこうやって米軍が来たんです。当時の記憶がある方いらっしゃいませんか」などと呼びかけた。

会場には当時のことをよく覚えている来場者も多く、「北条に住んでいたが、屋根の上から上陸するところをまさしく見た」「2階の窓から米兵が右左に分かれて、銃を持って通りを歩いていたという話を聞いた」などの証言が相次いであがった。

中には、「私は当時、国鉄職員として館山駅にいた。いまのフィルムにも映っている」と話し、米占領軍の司令から当時の館山駅長に輸送関係について指示に従うよう命令があったことや、司令を駅長宿舎でもてなしたことなど、当時のことを詳細に証言する男性も現れた。

鋸南町元名の元国鉄職員、白坂誠さん(84)で、当時は19歳。房日新聞の予告記事をみて上映会に訪れた。「もしかしたらという思いはあったが、まさか自分がフィルムに映っているとは。『お前もっといろいろなことを覚えているだろう』と頭を強く叩かれた気分。これまで当時のことを語ることは余りなかったが、今後は語り継いでいきたい」。

愛沢代表は「64年も前のことなのでびっくりしている。まさかフィルムに映っている駅員の方が来てくれるなんて思いもよらなかった。貴重な証言者」と驚きを隠せない様子だった。