【房日】081202*地域医療の危機救え

◎地域医療の危機救え
…館山で医師と市民の集い
…..看護学校開設への方策探る

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館山市にある館山准看護学校と、安房看護専門学校が閉校するのを受けて11月28日、同市のコミュニティセンターを会場に、「地域医療の危機と看護学校問題を考える-医師と看護師と市民の集い」が開かれた。会場には市民らおよそ120人が集まり、安房医師会の宮川準会長らの話に聞き入った。

集いは、両学校が閉校すれば看護師不足に陥り、地域医療だけでなく、移住促進活動など多方面に大きな影響を及ぼすとして、新たな看護学校設立の動きがある中で、現状に理解を深め市民としてなにが出来るかを探ろうと、同市の愛沢伸雄さんらが呼びかけ開いた。

集いではまず、医療法人博道会の看護師養成所設立準備室顧問の出口勉氏が現状説明を行い、安房地域では、看護師不足で一般病棟の一部を休止している病院があることや、安房地域では今後5年間で、200人以上の看護師不足が見込まれることなどを説明した。

このあと、宮川会長が移譲前の安房医師会病院が、看護師不足で運営難になったことや、准看護学校と安房看護専門学校との関係、閉校の理由などを述べ、「安房地域の医療維持に向け行動していきたい」と語った。続いて、館山病院看護部長の加藤尚子さんが看護師確保のため北海道や山形まで出向いたが、1人も来てくれなかった苦労を語り、「いまどうするかが切実な問題」と話した。

博道会総長の大島博幸氏も、医療崩壊の問題では医師不足が取り上げられるが、医療、介護、福祉まで関わっている看護師の不足で地域医療が崩壊すると再生できないとし、地域での看護師養成や、離職者の再教育による確保などを訴えた。

また、前館山病院長で、長年、僻地医療に携わっている高野良裕氏は、地域崩壊が看護師不足の根底にあるとし、さらに現在の看護師高学歴化に対し、「(看護師は)いまは管理職になってしまった。昔は看護師が患者の側にいた。だから医師も尊敬していた」などと述べた。

質疑応答で、市民からは「行政への働きかけはしたのか」「看護学校を設立するなら市民の声が届く組織づくりを」などの質問や意見が出され、老後の医療に不安を訴える移住者の声もあった。

呼びかけ人の愛沢さんは、看護学校開設に向け「きょうをスタートとし、大きな市民運動への皆さんの力をお貸しいただきたい」としており、今後広く努力を呼びかけていく考えを示した。