【房日】250516‗富崎地区が舞台の映画完成「世界一の夕陽と生きる」
館山市富崎地区が舞台の映画完成
「世界一の夕陽と生きる」
6月に無料試写会
館山市南部の富崎地区を中心に撮影が進められてきたドキュメンタリー映画「世界一の夕陽(ゆうひ)と生きる」が完成した。6月に同市内で安房地域の住民向けに無料の試写会が開催される。金髙謙二監督(69)は「いろいろな人に支えられ、この地に生きる人の姿を生き生きと描く映画にできた。ぜひ多くの人に見てもらいたい」と話している。
映画は、少子高齢化や過疎などの問題に日本の地域社会が共通して直面する中、富崎地区の人々の姿を通し、地域の「これから」を考えるきっかけにしてもらいたい、との思いから、金髙さんが企画した。
2024年初めに撮影を開始。プロデューサーの妻ひろみさんと2人で、自宅や事務所がある東京から頻繁に足を運び、19年の房総半島台風の被害から家業の立て直しに力を合わせて取り組む家族、東京から移住し、妻の病気を乗り越えてカフェを営む夫婦と周りの人々が絆を深める様子、事業に失敗して裸一貫、富崎地区にやってきて漁師になり、たくましく根を張って生きる高齢男性の姿、富崎地区が学区の市立房南小学校の児童らが地域を学ぶ様子など、18組の人や家族が描かれる。
取材で知り合ったり、出演者からの紹介で親しくなったりして撮影中に人の輪が広がり、出演につながった人もいる。こうした懸命に富崎で生きる人々の姿の合間に、満開の桜や内房の海越しに見える富士山、豊かな緑が広がる森など、ドローンも駆使して撮った富崎の美しい自然の光景が盛り込まれている。
特にタイトルにした夕日の光景では、南房総市在住のカメラマンで、南房総エリアで夕日を撮り続けている小出一彦さんの作品をふんだんに織り込んだ。
音楽を担当した小松真理さんは、金髙さんの20年来の仕事仲間で、金髙さんのこれまでの作品でも音楽を数多く手がけてきた。「今回もオリジナルの楽曲で、映画をより魅力的にしてくれた」(金髙さん)という。
金髙さんは、こうした撮影や編集作業の合間に、取材のこぼれ話や撮影の舞台裏などを昨年8月から月に数回ずつ、房日新聞のコラムで紹介してきた。
金髙さんは「地域が衰退していくことは、もしかしたら避けられないのかもしれない。だけど、映画で描いた人たちの姿は、見た人にきっと生きる勇気やヒントを与えてくれると思う。こんなすてきな地域が、実はまだまだ日本のあちらこちらにあることを感じてほしい」と言う。
(斎藤大宙)
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試写会の日程、会場、上映開始時間は次のとおり。いずれの会場とも、各回先着順の自由席で上映開始30分前に整理券を配布、定員になり次第締め切り。上映時間は105分。
6月8日=県南総文化ホール小ホール
(1)午前10時半(2)午後2時半(3)午後5時半(各回定員300人)
6月28日=房南小学校体育館
(1)午前10時半(2)午後2時(各回定員200人)
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映画のホームページ=https://www.sekaiichinoyuuhi.com/