【東京】250214_保里ますの顕彰 芳賀裕さん
いきいき館は、「日本酪農の発祥地」で知られる旧嶺岡牧(みねおかまき)にある。1988年創立で、地場産品の販売や、牧場の体験学習をサポートする地域活性化のための交流拠点。創業メンバーの高齢化を受け、芳賀さんは2019年、「地域の核となる施設をつぶしてはいけない」と仲間と共に事業を継いだ。
ますについて調べ始めたきっかけは、同館隣の酪農のさとで展示している、夫でイタリア系米国人ジョセフ・デネレーの写真だ。ますは20歳で単身渡米し17年間、米国で学び、デネレーと結婚。帰国後は大井で、後に東京でも牧場を開いた。優秀な乳牛の買い付けに渡米を繰り返した。日米開戦直前の1941年に米国に戻り、生涯を終えた。
地域の歴史を掘り下げる芳賀さんの視点は、大学時代に培われた。古代中央アジアの歴史を専攻し、シルクロードでの中国と少数民族の興亡を学んだ。現地で研究を希望するも文化大革命(66~76年)の余波で実現できなかったが、「庶民の視線で歴史を見直す」ことを続けている。
大井には91年、東京都品川区から移住
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