【東京新聞】250315_「安房高等女学校木造校舎」有志ら署名活動
「女子教育の殿堂」ぜひ!国の文化財に
「安房高等女学校木造校舎」 有志ら署名活動
館山に1930年建築 白鳥のような美観
千葉県指定有形文化財の旧県立安房南高校(館山市北条)の第一校舎を補修など適切に保存して活用し、国指定文化財へ格上げしてほしいと、NPO法人安房文化遺産フォーラムと「安房高等女学校木造校舎を愛する会」が6日、知事、県教育長宛てに要望書を出した。(山本哲正)
県立安房高等女学校は安房南高の前身で、1930年に建てられた。愛する会は、旧第一校舎を地域の誇りとして後世に継承、活用を願う有志らで、フォーラムを事務局として2017年に発足。敷地の草刈りや校舎の清掃、また調査、記録などの活動を続けている。
同会によると、旧第一校舎は、関東大震災を教訓に技術の粋を集め、和洋折衷で優れた意匠を施された。左右対称に大きく羽を広げた白鳥のように美しい姿は、女子教育の殿堂にふさわしいとされた。戦後、安房南高となった。
鉄筋造りに変わる時代に、保存された木造の旧第一校舎は、1995年に県指定有形文化財となった。だが、2008年に学校統合で閉校し、日常的には使われなくなったという。
同校には、明治期以降に先駆的な女子教育が果たされてきたことなどの貴重な教育資料も多く残されている。歴史的価値は高く、木造校舎は学校博物館としての活用も期待される。一方で閉校から時がたち、校舎は塗装の剥げや損傷も進んでいる。
同会は、県から委託を受けていた見学会が24年度から中止になり、文化財建物の放置と劣化を懸念して、署名運動を展開。要望書は「市、県、国と地域住民が一丸となって文化遺産を未来に継承するため、国指定文化財への格上げを要望する」としている。
要望書に添えられた署名は紙、オンラインで計3,156人分。引き続き署名を募っている。オンライン署名は=QRコード=から。問合せは、安房文化遺産フォーラムの池田恵美子さんへ。