【房日】250309_安房南高校 県と県教委に要望書

安房南高校旧第一校舎の保存活用と国文化財への格上げ求め

2団体が県と県教委に要望書と署名提出 館山

(房日新聞 2025.3.9.)

NPO法人安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄代表)と安房高等女学校木造校舎を愛する会(片方義明会長)は6日、館山市北条の県指定文化財「安房南高等学校旧第一校舎」の保存活用および国指定文化財への格上げを求め、県と県教委に要望書と3156筆の署名を提出した。

同校舎は、関東大震災を契機に耐震構造で建設され、古い日本の木造建築と西洋建築の要素が融合したデザインが特徴だ。1930年に建築されたこの校舎は、中央に玄関があり、左右対称に広がる外観が当時の学校建築の典型を示している。木造2階建ての構造は欄間付き格子窓が並び、開放的な雰囲気を醸し出している。95年3月に県指定の文化財となった。

校舎は2008年に学校統合により閉校。その後、校舎を管理する県教委では一般公開を行ってきた。18年からは地元の安房文化遺産フォーラムが県教委から委託を受け、安房高等女学校木造校舎を愛する会と協力して、校舎の公開を実施してきた。23年の公開には地域内外から約760人が訪れ、校舎内に残る貴重な教育資料などを見学した。

しかし、24年からは防火設備の問題で公開が中止され、現在は維持管理が行えない状況にある。

両団体は、保存と適切な管理を求め、昨年7月から署名活動を開始。用紙とオンラインで計3156筆の署名が集まった。また、要望書には、他地域の先進事例を参考に、文化財を生かしたまちづくりの一環として、国指定文化財への格上げの必要性も訴えている。

要望書と署名は同日、愛沢代表と片方会長が館山市コミュニティセンターで県文化財課の職員に手渡した。

片方会長は、「一般公開で訪れた卒業生たちの喜ぶ姿が忘れられない。ぜひとも、再び校舎の開放を実現してほしい。また、来場者の笑顔が見たい」と述べた。また、愛沢代表は「校舎は地域にとって魅力的なランドマーク的存在であり、文化財として保存・活用することは地域活性化につながる」と語った。

両団体では引き続き多くの市民らに賛同を得るべく署名活動を展開していく。オンラインでの署名は二次元コード=画像=から