【房日】230910_アワビがつなぐ歴史交流
故・溝口七生さんの絵画5点をモントレーに寄贈
明治時代に安房地域から渡米し、モントレーでアワビ産業を興した移民に関する交流、調査研究などを長年続けているNPO法人安房文化遺産フォーラムの共同代表、池田恵美子さん(62)と、英会話スクールを主宰する溝口かおりさん(58)が訪米し、歴史交流を行った。
日米でアワビ移民について共同歴史調査を進めている同NPOの池田さんと、1995年に調査、交流に来日した歴史研究者らの通訳を務めたことがきっかけで、以降交流を続けている溝口さん。「アワビがつなぐモントレー歴史・交流事業」として渡米した。
今回は、溝口さんの父で画家の故・溝口七生さんの絵画を、日系アメリカ人市民同盟(JACL)モントレー半島支部の所有する「JACLホール」に寄贈するのが主な目的で、同時に池田さんが同ホールで日系アワビ移民に関する新たな調査報告を行った。
寄贈した絵画は、七生さんが「モントレーで個展ができたら」と17年前に現地に預けていたもので、南房総の海や花畑などの風景画5点。
個展はかなわなかったが、先の移民たちが暮らしていた南房総の雰囲気を知ってもらえたら、と寄贈した。作品は全てホール内に展示されている。
同ホールは、アワビ事業を始めた小谷源之助の葬儀も行われた歴史あるホールで、多くの日系人らの目に触れるという。
「長く続いている活動の中、宙ぶらりんになっていた部分を寄贈する形でしっかりと収めることができてよかった。引き続き、交流を続けていきたい」と溝口さん。
同ホールで行われた池田さんの調査報告には、日系人ら約30人が参加した。同NPO共同代表の愛沢伸雄氏の研究を伝え、耳を傾けていた。
初めて現地に行ったという池田さんは、「アワビ事業が盛んとなったポイントロボスなど、実際に目で見られたことで研究が深まった」などと話していた。