【房日】221105_4年ぶりに旧安房南高校の校舎公開 520人が木造建築美に触れる
(房日新聞2022.11.5付)⇒ イベント詳細 ⇒ 木造校舎の魅力
県指定有形文化財の旧県立安房南高校木造校舎(館山市北条)の見学会が29、30日、開催された。台風被害、コロナ禍を経て4年ぶりに現地での開催となり、2日間で延べ520人が来場し、旧南高校の歴史や木造の建築美などに触れた。
同校舎は、関東大震災の経験を生かした耐震構造建築で、古い日本の木造建築と当時の新しい西洋建築の要素を融合させ、1930(昭和5)年に建てられた。建設当時の様子をよくとどめており、昭和初期の県の学校建築の姿を今に伝えているとして、95(平成7)年に県の有形文化財(建造物)に指定されている。一
一般公開は、郷土の文化財の理解を深めるとともに、文化財を活用したイベントとして県教委と安房高校が主催。2018年からNPO法人安房文化遺産フォーラムが企画運営し、「安房高等女学校木造校舎を愛する会」が協力している。
コロナ禍を受けて予約制での開催となった今回は、安房地域の他、県内外からも申し込みがあり、にぎわいを見せた。さまざまな時代の制服や授業道具、写真、資料、安房地域にゆかりのある美術作品などの展示の他、動画上映なども行われた。来場者は、展示物をじっくりと見学、細部に見られる建築装飾にも目を凝らしながら校舎内を巡っていた。
西郷力さん(81)=神奈川県平塚市=は「初めて中に入った。素晴らしい木造建築を守りながら、何かに活用して多くの人が足を運べるといいですね」。妻で同校卒業生の登志子さん(79)は「卒業以来で懐かしいと思うとともに、当時は気付くこともなかったが、こんなに価値あるところで学んでいたんだと実感している。今後もぜひ保存していただきたい」と思いを話していた。