館山まるごと博物館

南北逆さまの日本地図を見ると、房総半島南部の安房地域・館山は、弧を描いた日本列島の頂点に位置しています。古くから海上交通の要衝として世界とつながり、軍事拠点としての戦争遺跡群や中世城跡群が多く残っています。また違う視点で見直すと、”平和・交流・共生”の地域像が見えてきます。

地域教材を活かした授業づくりから、市民の生涯学習まちづくりに発展し、NPO法人安房文化遺産フォーラムが誕生しました。学校教育や社会教育を支援するスタディーツアーガイドをおこない、地域のコーディネーター役となって多様な連携を図り、市民が主役となるような「館山まるごと博物館」のエコミュージアム活動を実践しています。

エコミュージアムとは、地域全体を博物館と見立てて、学習・研究・展示・保全などの市民活動を通じて、魅力的な自然遺産や文化遺産を再発見し、活性化を図るまちづくり手法のことです。1970年代のフランスで提唱され、世界中で取り組まれていますが、日本では先進事例の山形県朝日町や香川県直島などと並び、NPOフォーラムの「館山まるごと博物館」が国内外から注目されています。

エコミュージアム活動で最も重要なことは、住民が自ら地域課題をよく理解し、暮らしやすい地域の将来像を描くことだといわれています。「館山まるごと博物館」では今あるものを活かしながら、持続可能な地域社会を創造するヒントを見出していきたいと思います。