東京・銀座でオマージュ展
「青木繁」敬愛の作品展示8月2日まで
(房日新聞2014.7.20付)
明治時代の画家、青木繁(1882〜1991)を敬愛した作品を展示する「青木繁『海の幸』オマージュ展」が19日から、東京・銀座の「永井画廊」(永井龍之介代表取締役)で始まった。8月2日まで。
昨年、第1回として銀座で展示した作品を巡回する形で、第2回館山展として開催。代表作の「海の幸」(重要文化財)が描かれるきっかけとなった同市の市博物館の「渚の博物館」を会場に、60日間で延べ8000人以上が観賞した。今年は東京展の後、関西方面の画家らを中心にした、第4回京都展も予定している。
オマージュ展は、NPO青木繁「海の幸」会が中心となって開催。同会は、2010年に発足。東京技術学校を卒業したばかりの青木が1904年、館山市布良の小谷家へ宿泊し「海の幸」を制作したことから、この小谷家の保存、修復を目的にしている。会員有志によりオマージュ展を開催し、広く一般への賛同を呼びかけている。
今回の東京店では、永井氏が活動に賛同し、NPOと永井画廊が共催の形となった。永井氏が推薦する54人の画家の作品を展示。小品を中心とした油彩、ドローイング、立体などで、特別展示で、青木繁の作品「梅野一像」も飾られる。
第3回東京展の開催時間は午前11時半〜午後7時。日曜休館。
第4回京都展は、ギャラリー「ヒルゲート」(京都市中央区)で、8月6日〜11日に開催される。
東京展の問い合わせは、永井画廊(03-3547‐9930)へ。
青木繁《海の幸》ゆかりの漁村を歩こう!
〜修復中の小谷家住宅、特別公開〜
⇒印刷用PDF
■日時=平成27年2月22日(日)
■集合=9:30「安房自然村」バス停
■アクセス=JRバス館山駅9:00発
「安房白浜」行「安房自然村」下車
■見学地=『海の幸』記念碑・小谷家住宅・布良崎神社
■参加費=300円(保険料・ガイド・おもてなし)
■主催=青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会
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館山市富崎地区は布良と相浜の漁村集落からなり、阿由戸の浜に房総開拓神・天富命が上陸したといわれる神話のふるさとです。目の前には女神山と男神山がそびえ、水平線上には富士山と伊豆の島々が並びます。マグロ漁で栄えていた漁村のエネルギーから、重要文化財の『海の幸』が誕生しました。
危険なマグロ漁は海難事故も多く、冬の夜空に赤く輝くカノープスは「布良星」と呼ばれ、亡くなった漁師の魂だという伝説もあります。青木繁は、布良崎神社の大神輿が海に入る夕陽の神事からインスピレーションを得て『海の幸』を描いたのではないかと考えられています。
小谷家活用のまちづくり 館山の13団体
優良事例で「ちばコラボ大賞」
(房日新聞2014.12.30付)
青木繁が「海の幸」を描いた館山市布良の小谷家住宅を生かした漁村のまちづくりの取り組みが、優れた協働事例を表彰する「ちばコラボ大賞」(千葉県知事賞)を受賞した。
NPO、団体、行政などが力を合わせ、さまざまな地域課題の解決に取り組んでいる事例を表彰しており、今年度は3事例が選ばれた。
表彰されたのは、市指定文化財の小谷家住宅の修復、公開を目指し、全国の画家とともに修復基金を募ったり、保存用のふるさと納税制度を整備したりし、同住宅をはじめ周辺環境の整備、コミュニティー再生にも貢献している関連団体の取り組み。
実施団体は「NPO法人安房文化遺産フォーラム」、「青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会」など13団体。
小谷家修復の道筋をつけるとともに、活用によって地域の魅力を再発掘し、地域内外の人々の絆を深めていることが評価された。
千葉県では、NPOが地縁団体や行政機関等と連携して、地域の課題解決に取り組んでいる活動事例から、モデルとなるような優れた事例を「ちばコラボ大賞(千葉県知事賞)」として表彰し、連携の重要性や効果を広く知らせ、促進を図っています。
このたび、私たちの活動が平成26年度「ちばコラボ大賞」に選ばれました。
⇒千葉県HP
【事業名】
・青木繁「海の幸」誕生の家・小谷家住宅を活かした漁村のまちづくり
【連携団体】
・NPO法人安房文化遺産フォーラム (代表:愛沢伸雄)
・青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会 (会長:嶋田博信)
・NPO法人青木繁「海の幸」会(理事長:大村智)
・富崎地区コミュニティ委員会 (会長:勢見勝美)
・布良崎神社 (責任役員:小谷昭)
・館山市 (市長:金丸謙一)
・館山市教育委員会 (教育長:出山裕之)
・館山美術会 (会長:今泉俊一)
・NPO全国生涯学習まちづくり協会 (理事長:福留強)
・千葉県歴史教育者協議会 (会長:三橋広夫)
・財団法人石橋財団石橋美術館 (理事長:石橋寛)
・青木繁旧居保存会 (会長:荒木康博)
・くるめつつじ会 (会長:今村一郎)
【事業概要と成果】⇒詳細はこちら。
【表彰式&協働セミナー】⇒詳細はこちら。
・平成26年12月18日(木)13:30〜15:40
・ホテルプラザ菜の花
ヘリテージまちづくり講座
美術と歴史建物の視察バスツアー
〜佐倉市立美術館&佐倉順天堂記念館&旧堀田邸
⇒印刷用PDF
【日時】2014年11月11日(火)
【参加費】2,000円(入館料・昼食・保険料)
【定員】25名(会員限定)
◎ 倉田白羊 くらたはくよう(1881-1938)
東京美術学校で黒田清輝や浅井忠の指導を受け、1901(明治34)年主席で卒業。房州根本(白浜町)の小谷英子と結婚し、1916(大正6)年より館山に居住。英子の兄は、明治期に房州根本から米国・モントレーに移住し、器械式潜水アワビ漁に成功した先駆者の小谷源之助・仲治郎兄弟である。
白羊は美術教育にもたずさわり、周囲に集まってきた小学校教師らに自由画教育を奨励した。千葉師範学校で研究会が開かれ、県下に自由画教育が広まった。
1922(大正11)年、白羊は山本鼎(かなえ)の要請を受けて信州上田へ移住、日本農民美術研究所の副所長に就任、本格的な農民美術の教育を始める。上田移住後も時々房州を訪れ、美術教育に尽力した。指導を受けた富崎尋常小学校(昭和2年3月)卒業の吉田源七らの作品が同館に所蔵されている。
白羊は、『三太物語』で知られる館山在住の文学者で画家の青木茂と懇意にしており、館山美術会の設立に関わった可能性もある。青木の遺族が寄贈した館山市立図書館所蔵の『水門』(上図)は、大房岬が見える湊川河口部で描いたと推定され、背景の館山湾に浮かぶ帆船は、その帆型より日本初の洋式船「富崎丸」(石油発動機付帆船・豊崎政吉造船)と考えられる。
◆佐倉順天堂記念館 【千葉県指定史跡】
順天堂は、長崎に遊学した佐藤泰然が佐倉に開いたオランダ医学の塾。当時としては最高水準の外科手術を中心とした実践的な医学教育と治療が行われ、幕末から明治にかけて全国各地から多くの塾生が参集し、その多くが明治医学界において活躍した。系統的な医学教育をとり入れた泰然の養子・佐藤尚中(たかなか)は、新政府から大学東校(現東京大学医学部)の最高責任者として招かれた後、御茶ノ水に順天堂医院を開業した。 館山市出身の資生堂創業者の福原有信は、大学東校で西洋薬学を学んでいる。
現在残っている佐倉順天堂は、1858(安政5)年に建てられたものと、その後拡充された施設の一部である。1975(昭和50)年に「旧佐倉順天堂」として千葉県指定史跡に認定され、建物の修復とともに1985(平成60)年から「順天堂記念館」として一般公開された。しかし建物の老朽化が進んだため、1999(平成11)年から2001(平成13)年にかけて再び修復整備が施され、2001(平成13)年10月2日から再公開となった。
◆旧堀田邸 【国重要文化財】
最後の佐倉藩主であった堀田正倫の邸宅として、1890(明治23)年に建築された。庭園を含む一帯が、1997(平成9)年に佐倉市指定文化財(名勝)となり、1999(平成11)年秋に大規模な補修復元工事を終えた。2001(平成13)年に千葉県指定文化財(名勝)に指定され、2006(平成18)年には「旧堀田家住宅」として国の重要文化財(建造物)に住居部5棟(座敷棟・居間棟・書斎棟・玄関棟・湯殿)と門番所・土蔵が指定された。伝統的な和風建築と西洋建築の工法が混在しており、明治初期の過渡期の様子をうかがい知れる。
佐倉に農事試験場を創設した堀田正倫は、安房北条で促成栽培などの農業指導や殖産興業の推進にあたっていた万里小路通房伯爵と交流が深く、堀田の妻伴子は万里小路の長女である。
青木繁フォーラムへのお誘い
青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会
(房日新聞2014.7.22付)
今年は、画家・青木繁が房州布良を訪問し、《海の幸》を描いてから110年目にあたります。その節目に念願がかない、青木繁《海の幸》誕生の家・小谷家住宅(館山市指定文化財)の修復工事が始まることになりました。小さな漁村のまちづくり活動として10年の取り組みになりますが、この間、多くの皆様にご支援をいただいてきたことを心より御礼申し上げます。
まず、小谷家のご家族におかれましては、私有財産にもかかわらず「地域活性化と日本の美術振興に寄与できるなら、古い我が家をどうぞ使ってください」というご英断をしてくださいました。これから2年間の修復工事が終われば、平成28年春に築120年の母屋がよみがえって一般公開に供することになります。ご家族の住居は物置を増改築した小さな建物に移っていただき、たいへんなご不便をおかけいたします。改めて感謝と敬意を表するとともに、市民の皆様にも深くご理解いただきますようお願い申し上げます。
また、平成22年に発足したNPO法人青木繁「海の幸」会におかれましては、大村智理事長様をはじめ全国の著名な画家や美術関係の皆様が、小谷家住宅の修復基金のために力を尽くしてくださっています。東日本大震災で寄付が困難になりましたが、全国巡回で青木繁「海の幸」オマージュ展を開催し、売上の一部はチャリティ基金と納めてくださっています。オマージュとは尊敬を意味するフランス語だそうですが、青木繁《海の幸》誕生の聖地として小谷家住宅を後世にのこしたいと思ってくださることは、館山市民として本当に有難いことと感謝しております。3年目となる平成26年のオマージュ展は、銀座・京都・福岡・田園調布と並んで、たてやま渚の博物館と館山市コミュニティセンターを会場に館山展が開かれます。ご高名な先生方の作品が一堂に会するばかりでなく、伝統ある館山美術会の皆様が協賛される素晴らしい機会として、多くの皆様にご鑑賞いただけることを嬉しく思っています。
小谷家住宅の保存事業はまだ道半ばでございますが、館山市ふるさと納税(非課税となる寄付制度)や名画の購入を通じて、引き続きご支援を呼びかけているところです。日本を代表する青木繁《海の幸》の力を借りて館山の地域ブランドに磨きをかけて、子どもたちの未来に誇りを手渡せるよう、末永くお力添えいただけますよう重ねてお願い申し上げます。