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【房日】091226*読者コーナー:山口栄彦
(房日新聞:読者のコーナー2009.12.26付)
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館山市の布良・相浜地区の住民は、3年ほど前かに青木繁「海の幸」ゆかりの小谷家と記念碑の保存運動を始め、保存会を結成した。
去る11月18日、房日新聞は1面トップで、地域住民、NPO、それに行政の努力で、小谷家が館山市の文化財に指定されたと報じた。
私は学生時代に青木繁と彼の名作「海の幸」を知り、友人知人や行政に小谷家の保存を訴えた。それだけに新聞の記事を読み、うれしくなって叫びたい心境になった。
ところで、私は保存会の運営委員会に出席するたびに1つの疑問を持った。それは「海の幸」の登場人物の末裔の布良、相浜の漁民がどうして運営委員になってくれないのかと。そこで、布良で1本釣りをしているK丸の船主(76)にその理由を尋ねてみた。
魚を獲って暮らす漁師は、農家の人が田畑で時間をかけて米、野菜をつくるのとは違う。海は日や時間で潮が変わるし、風はいつも同じ方向から吹かない、そんな気象の中で漁師は漁をするのだ。魚が獲れ出した時、会議だからといって漁は休めない。
海について多少知っているつもりだったが、彼の説得力ある答えに疑問は晴れた。と同時に、かつての漁村集落での運動の難しさも知った。
館山市 山口栄彦