081025【3】マイナスをプラスと考える逆転の発想=矢野学
テーマ:市民が支えうコミュニティづくり
マイナスをプラスと考える逆転の発想
講師:矢野学(新潟県上越市議会議員、前安塚町長)
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〜心の過疎をつくらない〜
これは、日本有数の豪雪地帯であり、
典型的な過疎・山村といえる、新潟県旧安塚町の
前町長・矢野学氏のまちづくり理念です。
住民にとって重荷だった豪雪を逆手にとった「雪」の冷房化や、
棚田の保存、民家のデザインの統一による景観の保全、
住民主体の参画による体験型観光の通年化に成功しています。
矢野学氏は、国土交通省の「観光カリスマ」にも認定されています。
新潟県の豪雪地帯にある旧安塚町(現上越市安塚区)は、雪を資源だと考える逆転の発想のもと、日本で初めて雪を商品化した「雪の宅配便」や、東京ドームに450tの雪を運びこんだ「サヨナラ後楽園球場スノーフェスティバル」、雪を貯蔵した雪冷房システムや米の雪中貯蔵の開発など、奇抜なアイデアで地域に活気をもたらしてきました。「克雪・利雪・楽雪」をキーワードに、経済活動をおこしていこうと設立された「雪だるま財団」の活動は、衣・食・住・遊にわたる雪国の生活文化を活かした取り組みをすすめており、財団のなかには旅行業資格を取得した「越後田舎体験推進協議会」を設置し、全国に先駆けた体験教育旅行の分野にまちぐるみで成功を収めています。
人口3,600人の旧安塚町は、14市町村の大規模合併に伴って21万都市の一隅となりました。これに先立ち、住民は自ら「安塚らしさを残すためには何ができるか」「住民主体のまちづくり組織をいかにつくるか」などの話し合いを重ね、全町民参加型の「NPO法人雪のふるさと」を設立しました。当時の安塚町では、NPOの財源基盤のために8,000万円を寄付しています。現在、安塚区の8割の世帯がNPOに加入しており、おもな活動は、コミュニティプラザ(町民会館)や総合事務所の管理委託をはじめ、病院の送迎、家事援助、除雪など高齢者を対象にした有償ボランティアの実施、季節ごとのイベントの継続実施、ケーブルテレビの番組制作など多岐にわたっています。地域環境に見合った公共サービスを住民自身が提供しあうと同時に、雇用の機会も生まれました。NPOが行政に代わる存在として活動していることにより、地域の人たちは大きな安心感を得たといいます。また、旧安塚町では合併前に28集落すべてが地縁団体の法人格を取得し、町から各地区に不動産を譲与して財産管理を任せ、NPOや財団との連携を図りながら地域自治区の可能性を創出することにも成功しています。
矢野学氏は、「地域づくりは、あなたが主役」のコミュニテイと「行財政改革」を推進してきた立役者です。きっと、私たちにも夢と希望が湧いてくるにちがいありません。多くの皆さんのご来場をお待ちしています。