描きたくなる房総の風景
青木繁の「海の幸」を生んだ布良の海
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青い海に囲まれた房総は、名画のふるさとでもあります。浮世絵の時代から美に敏感な巨匠たちに愛された半島は、特に明治から昭和にかけては人気の写生地として、たくさんの作品に描かれました。のどかな春の日差しの中、画家たちの足跡をたどって、房総風景の魅力に酔いしれませんか?
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初めて国の重要文化財に指定された洋画
サメをかついで砂浜を帰っていく裸の漁師たち。誰もが美術の教科書などで一度は目にしたことがある「海の幸」は、1967年に油絵として初めて国の重要文化財に指定されました。所有者の石橋財団が新しいブリヂストン美術館の開館準備に入ったため、今は「海の幸」も各地を巡回中。オリンピック開催の頃には、千葉からもアクセスの良い東京駅近くで、青木繁作品をまとめて鑑賞できる予定です。
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青木繁がひと夏を過ごした小谷家が記念館に
東京芸術大学の前身である東京美術学校を卒業した青木繁(1882-1911年)は、画家仲間(恋人の福田たねを含む)と写生旅行に出かけます。行き先は同郷の詩人から「ことさらに美しい海岸」と聞いていた布良。この若き画家4人をひと夏、無償で世話したのが網元の小谷家でした。青木は、この家で地元の漁師にもモデルになってもらって「海の幸」を描き上げました。28歳で亡くなった青木の最高傑作は、こうして布良の小谷家で生まれたのです。
全国の画家600人以上が組織を立ち上げて寄付金を集め、長年活動してきた地元有志や館山市と共に、小谷家保存を実現。「青木繁≪海の幸≫記念館」として一般公開して、この春で1周年を迎えます。その活動で画家たちを束ねたのは、絵画愛好家で女子美術大学の名誉理事長でもある科学者の大村智博士(2015年ノーベル賞受賞)。記念植樹の石碑には「美は人を養う」という博士の言葉が刻まれています。
記念館の庭には、安房地域の高校で美術を教えてきた館山美術会顧問の彫刻家、船田正廣氏の塑像によるブロンズレリーフもあります
ウオーキングコース「画家が愛した漁村のみち」の看板をたどって布良の海辺を歩くと、波の形、雲の配置、船の造形など思わず指のフレームで構図をきめたくなる絶景に何度も出合います
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小谷福哲(こたにふくあき)館長インタビュー
—これが「海の幸」ですね!実際も同じ大きさですか?
はい。原寸大の複製です。先頭の漁師は、14代目当主の小谷喜録がモデルと言われています。
—地域や美術関係者の期待に応え、小谷家を記念館にされたのですね?
実は、家の一般公開はオヤジ(16代目の小谷栄)の独断でした(笑)。当時はまだ家族が住んでいたので引っ越したり大変でしたが、多方面の協力を得て昨春オープンし、土日のみの公開で12月末までに2600人がいらっしゃいました。開館準備中に押し入れから貴重な品々がごっそり見つかったんですよ(詳細は館内で)。ここは今では郷土資料館も兼ねていますし、時には、浄瑠璃の会場にもなります。
—布良に文化発信基地が誕生したわけですね!まだまだ新たな発見がありそうで楽しみです。館内を丁寧にご案内くださり、ありがとうございました。
Data
青木繁「海の幸」記念館
館山市布良1256
土日10:00〜16:00(10〜3月は〜15:00、年末年始とお盆は休)、平日は10名以上で要予約
一般200円、小中高100円 徒歩2分の「安房自然村」バス停付近に駐車可
問い合わせ先:NPO安房文化遺産フォーラム TEL 0470-22-8271
3月3〜5日は「ひなまつり」、G.W.は特別イベント開催
茶道教授・天内翠紫先生とご一門をお迎えし、お点前をいただきます。
抹茶とは異なる煎茶道をお楽しみください。
〇日時=2017年2月26日(日)12時・13時・14時
〇定員=各10名
〇会場=青木繁「海の幸」記念館・小谷家住宅
〇料金=一服300円(入館料別)
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*江戸人形浄瑠璃を楽しむ会「傾城阿波の鳴門巡礼歌の段」
*煎茶道を楽しむ会
*ひな祭り
*青木繁「海の幸」が初めて海外へ〜パリ・オランジュリー美術館
*記念館レポート
・オープン8か月で2,565名が来館
・大村智先生の記念植樹もすくすくと
・庭のウリ畑と宝貝すトララップ
・神田吉右衛門日記に内村鑑三来訪の記述
・小谷喜録の義弟・日箇原繁と「月刊スケッチ」
・『わだつみのいろこの宮」えお布良で構想した背景
*富崎まちかどミニ博物館とお宝発見めぐり
*青木繁旧居にブロンズ像「刻画・海の幸」寄贈・序幕、
・複製画「わだつみのいろこの宮」も寄贈
日時=2016年12月5日(月)〜30日(金)・1月6日(金)〜31日(火)
11〜18時(定休日:水曜日)
会場=光澤堂
(東京都中央区銀座4-6-11銀座センタービル7階)
TEL=03-5524-0524
日時=2016(平成28)年12月5日(月)〜10日(土)
11:00〜19:00(最終日は17時まで)
場所=東京・銀座 ぎゃらりい サムホール
(東京都中央区銀座7-10-11日本アニメーションビル2階)
TEL=03-3571-8272
◎オープニングパーティー=初日5:00〜7:00
*今回は116名の作家の出品による大展覧会となります。
パリで来年、特別展
青木繁「海の幸」など紹介
【Topics】ブリヂストン美術館の名品
(毎日新聞夕刊2016.11.22付)…⇒印刷用PDF
ブリヂストン美術館で知られる石橋財団コレクション展が、来年4月から4カ月にわたって、パリ・オランジュリー美術館で開催されることが決まった。同館では、特別展として海外のコレクションをまとまった形で紹介するのは初めての試みだという。
「ブリヂストン美術館の名品—石橋財団コレクション展」は来年4月5日〜8月21日に開催される。オランジュリー美術館・オルセー美術館とは、2012年に共同企画「ドビュッシー、音楽と美術展」を開催。こうした縁から、フランス側の提案で実現したという。
東京・京橋のブリヂストン美術館は入居ビル建て替えのため現在休館中で、19年秋に開館予定。今回は、青木繁「海の幸」や藤島武二「黒扇」といった日本人画家が描いた近代洋画をはじめ、ルノワールの「すわるジョルジェット・シャルペンティエ嬢」やピカソ「腕を組んですわるサルタンバンク」など印象派から戦後の抽象絵画まで76点が展示される。
同コレクションは、1962年にパリ国立近代美術館で、フランス近代絵画の名作50点が展示されている。オランジュリー展では、その後増えた収蔵品や日本画家による洋画の中からも紹介、収集家たちの活動にも光を当てる。石橋財団によると、「海の幸」が海外で紹介される初めての機会となる。
オランジェリー美術館のセシル・ジラルドー学芸員は「ジャポニズムなど日本が西洋世界に与えた影響は研究されているが、その反対はフランスで知られていない。日本の洋画を紹介するまたとない機会になる」と話した。【高橋咲子】
秋のお出かけにおすすめ
青木繁ゆかりの小谷家〜館山市神話の浜の高台に
(あさひふれんど千葉2016.11.15付)…⇒印刷用PDF
今年も立冬をすぎたが、房総の海や山は“晩秋”の行楽シーズン。南房へ太平洋の大海原を見に行くことがあったらおすすめしたいのが、館山市布良(めら)の“新名所”青木繁「海の幸」記念館小谷家住宅だ。
江戸時代から昭和19年(1944)まで続いた網元の住宅で同市の有形文化財に指定されている。この小谷家に夭折の画家青木繁が恋人福田たね、友人坂本繁二郎、森田恒友らと逗留したのは明治37年(1904)の夏。
40日ほど滞在した。このとき、坂本から聞いた大漁話から着想した名作が「海の幸」である。洋画の重要文化財第1号となった。
阿由戸の浜を見晴らす高台に建つ小谷家は、廃業以来痛みが激しいことから復元・保存活動が起き、NPO法人青木繁「海の幸」会(大村智理事長)が発足、約7年にわたる地道な資金づくりが実り、修復工事が完了し、今年4月から一般公開されている。
客間書院の欄間の彫刻には、明治時代に活躍した後藤喜三郎橘義信の刻名がある。風光明媚な景勝地で知られる布良は天富命(あめのとみのみこと)が上陸したという神話の浜である。
小谷家の近くには鳥居から洋上遥かに富士山を望む布良崎神社や安房自然村がある。マイカーでの行楽なら房総半島突端の洲埼灯台、県立野鳥の森、白浜フラワーパークなど見どころが多い。
◇小谷家記念館 毎週土、日曜日の開館(お盆、年末年始を除く)10時〜16時(4月〜9月)10時〜15時(10月〜3月)
◇入場料 一般200円・小中高生100円
◇同館問合せ TEL 0470(22)8271
◇交通 JR内房線館山駅から白浜行バス。安房自然村下車。徒歩3分。
あいの浜ウォーキング
「相の浜という処がある、詩的な名ではないか」
‥青木繫がそう語った漁村を歩いてみません。
⇒印刷用チラシPDF
*日時=平成28年10月10日(月)9:30〜11:30
*集合=相浜漁港そばの浜・駐車場(JRバス「相の浜」停留所から徒歩5分)
*参加費=一般300円、小中高200円、友の会会員=100円
(青木繫「海の幸」記念館の入館料・保険・マップを含みます)
*見学地=相浜神社、元禄地震津波供養碑(蓮寿院)、巴橋(国登録文化財)、
神田吉右衛門の碑、日露戦争戦役の碑、マグロ延縄船・安房節の碑‥等
【関連行事】
和紙人形展in青木繫「海の幸」記念館