「館山まるごと博物館」のエコミュージアム実践研究
地域資源の再発見と街づくり
「月間事業構想」2016年10月号‥⇒印刷用PDF
「月間事業構想」2016年10月号‥⇒印刷用PDF
大正大学地域構想研究所『地球人』第7号2016.4.1‥⇒印刷用PDF
房日新聞2017.5.9付‥⇒印刷用PDF
(読売新聞千葉版2017.5.3付)‥⇒印刷用PDF
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※期間中、毎日開館(10:00〜16:00)
※友の会会員は入館無料
※自家用車はJRバス停「安房自然村」周辺に駐車可。
4月29日(土) 5月5日(金)9:30布良崎神社集合
10:00〜12:00 参加費500円
有志で森を整備し、階段を設けた遊歩道で頂上まで登り、手作りの
天空テラスで360度の眺望を楽しめる健脚コース! 雨天中止。
4月30日(日) 5月3日(水)
9:30布良崎神社集合 10:00〜12:00 参加費500円
青木繁が愛した漁村は、房総開拓神・天富命が上陸した神話の里。
女神山、阿由戸の浜、マグロ延縄漁・安房節発祥の碑などをめぐります。
4月29日 5月2・4・6日(土火木土) in 布良崎神社
船を繋ぎ留める舫い綱の結び方は、キャンプや引越、災害救助など
日常の場面で役立つ生活の知恵をプロの漁師から習ってみましょう。
4月29・30日 5月3・5日(土日水金) in 布良崎神社
5月3・4・5日(水木金) in 青木繁「海の幸」記念館
*ピエロ.コレクション in 青木繁「海の幸」記念館
*館山の海と伝説のダイバー・ジャックマイヨール展 in 安房自然村ホテル正翠荘
*寺崎武男の奉納画展 in布良崎神社
*貝殻コレクション&溝口七生絵画展 in メラーノカフェ (布良崎神社となり)
*懐かしの富崎&海女の写真展 …など
(房日新聞2017.4.11~12付)‥⇒印刷用PDF
青木繁「海の幸」記念館館長 小谷 福哲
昨年4月、館山市布良の小谷家住宅が青木繁「海の幸」記念館となり、当主の私が館長に就任いたしました。「少子高齢化の進む漁村の活性化のためなら、古い我が家を後世にのこし、どうぞお役立てください」と、父・小谷栄が決断してから11年目のことでした。
この間、富崎地区コミュニティ委員会を中心に設立された青木繁「海の幸」誕生の家と記念碑を保存する会(嶋田博信会長)、事務局を担ってきたNPO法人安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄代表)をはじめ、全国の画家の皆様のNPO法人青木繁「海の幸」会(大村智理事長)、そして館山市・同教育委員会等の関係者が力を合わせて修復基金を募り、記念館の開館に至りました。
とはいっても公営施設ではないため、公開日は毎週土・日曜のみとなっており、事前予約があれば平日も開館しています。運営は、保存する会の皆さんがボランティアで受付や掃除などの業務に当たって下さっています。
これまでに、市内からは館山総合高校の「観光の学び」として1年生150名、神戸小学校の「3つの〝あ〟のふるさと学習」で4年生19名、千葉女子高校1年生320名、昭和女子大学100名など市内外の学校や諸団体、また遠くは韓国やドイツなど海外からも来訪されました。こうして、この1年間で3千人を超える来訪者をお迎えすることができました。「雰囲気がとても良い、来て良かった」等の感想をお聞きすることはとても嬉しく、励みになっています。
四季折々に合わせて和紙人形展、江戸人形浄瑠璃を楽しむ会、煎茶道を楽しむ会、ひな祭りなどの企画を催し、多くの方々の協力をいただきました。改めて御礼申し上げます。
ここで、これから訪問される皆様のために、当館について紹介させていただきます。
2年かけて半解体の修復工事により、瓦の葺き替え、なまこ壁の復元など、業者の皆様にご苦労いただき、かつての姿を蘇らせることができました。
小谷家住宅は、安房地域の漁村を代表する分棟型民家として、館山市の有形文化財に指定されています。分棟型とは、主屋と釜屋(土間)の2棟からなる南方系文化を伝える住居形式です。これまでは黒潮の流れに沿って分布しているという定説でしたが、館山市文化財審議委員の日塔和彦先生により、オセアニア(ポリネシア)から布良へカヌーで直接伝達したという可能性が示唆されました。
現在の小谷家住宅は、釜場は壊され主屋しか残っていませんが、青木繁が来訪時に描いたと思われる周辺略図では当家を2棟に図示していることは、昨年4月の房日新聞寄稿で愛沢伸雄氏が紹介したとおりで、館内にも展示紹介しています。
主屋の右手にあるブロンズレリーフは、彫刻家の船田正廣氏が3年がかりで完成させた石膏の塑像をもとに製作された、同寸大の「刻画・海の幸」です。
戦後70年と日韓国交正常化50周年を記念し、秀林文化財団理事長の河正雄(ハ・ジョンウン)氏の資金提供により、館山の小谷家、九州久留米の青木繁旧居、韓国の3美術館(ソウル・光州市・霊岩郡)に設置されました。
船田先生は「皆さん、ブロンズをなでてください」と言います。人の手で触ることで磨かれ、ブロンズがさらに輝いていくのだそうです。
ブロンズの右隣りには、ノーベル賞を受賞された大村智先生による記念植樹があります。もともと当家にもあるクロガネモチという大木と同種の苗木で、縁起の良い木といわれています。偶然にも青木繁の故郷・久留米市の木で、青木繁旧居の庭にも植えられています。大村先生が書かれた「美は人を養う」という色紙をもとに、俵石材店さんが揮毫の石座を作って寄贈してくださいました。
青木繁「海の幸」記念館館長 小谷 福哲
つづいて、館内の造作や展示について紹介いたします。玄関を入った左手が受付です。
青木繁ら4人が滞在したといわれる奥二間には「海の幸」と「わだつみのいろこの宮」を、北側の納戸には「海」「海景」の複製画を常設しています。これらは、高度なスキャナー技術資格を有する島田吉廣氏が、原画を綿密に観察して、できるだけ忠実な色彩で同寸大に複製印刷したものです。どうぞお楽しみください。
青木繁は滞在中、友人の梅野満雄に4枚の絵手紙を出状しました。この地の素晴らしい景観や歴史とともに、40種もの魚貝名を列挙して豊かな海を讃えており、「海の幸」と思われる大作を制作中だと書いています。
奥二間に掲示された3枚の魚類図は、水産伝習所(東京海洋大学の前身)の初代所長・関澤明清から漁業実習指導のお礼として明治23年9月に小谷喜録へ贈られた「日本重要水産動植物之図」だと判明しました。これは農商務省水産局が制作した日本初のカラー魚類図で、パリ万博に出品されたものです。
青木繁もこの魚類図を見て興味を持ち、多くの魚貝名を絵手紙に書いたのではないかと思うとワクワクしてきます。
有名なキリスト教思想家の内村鑑三が、水産伝習所の教師として漁業実習で布良を訪れ、神田吉右衛門との出会いが人生の転機になったと自著に記していることは、すでに水産学者の平本紀久雄氏より報告されていました。神田は、全国のモデル的な村政に取り組んだ富崎村長です。
さらに神田吉右衛門日記(館山市立博物館蔵)を読み解いたところ、内村鑑三に関して10回の記載が見つかりました。それによると、伝習所の引率で布良の旅館「柏屋」に滞在したことや、沖で遭難したアメリカ船の船員との通訳を依頼したこと、相浜で地引網の実習をしたことなどが明らかになってきました。
小谷家から見つかった書画の中に、「韓国 李?鎔(イ・ジュンヨン)」と署名されたものがあります。大韓帝国皇帝・高宗の甥であり、様々な政変に関わって日本に亡命し、館山に閑居した時期がありました。明治35年11月6日付の東京朝日新聞には、李?鎔を暗殺しようとした刺客が房州北条町で捕まったと報道されています。
詳細は不明ですが、韓国の研究者からは大変貴重なものと伺っています。是非ご覧いただきたいと思います。
一周年を迎えるゴールデンウイークには、4月29日から5月7日まで、青木繁「海の幸」記念館を毎日開館いたします。
また期間中は「富崎まちかどミニ博物館めぐり」というイベントを企画し、布良崎神社や安房自然村をはじめ富崎地区内で、様々な展示や行事をおこないます。多くの皆様のご来訪をお待ちしています。
今月から4か月間、パリでブリヂストン美術館展が開催され、初めて「海の幸」が海外で紹介されると注目されています。東京八重洲口の同館は現在建て直し中で、2年後にリニューアルオープンするそうです。これまで九州の石橋美術館にあった青木繁の作品はすべて東京に移され、東京オリンピックの集客を目ざした企画と思われます。
これに伴い、青木繁「海の幸」記念館のある館山観光は大きなチャンスを迎えるといえるでしょう。そのためにも、週末のみではなく平日も開館できるよう、多くの皆さんに「友の会」として運営を支えていただく制度を設けています(年会費2千円・特典あり)。観光振興の一助として、是非お力を貸していただけたら幸いです。
(房日新聞2017.2.28付)…⇒印刷用PDF
館山市布良の小谷家住宅「青木繁『海の幸』記念館」で、3日からの3日間、同住宅からみつかった古いひな人形が展示される。つるしびなも一緒に展示されており、華やいだ雰囲気となっている。
青木繁が「海の幸」を描いた小谷家は、江戸時代から続く網元の名家。展示されるひな人形は、3年前に同住宅の納戸の奥から発見された人形。
4対のひな人形は古風な人形で時代を感じさせるが、いずれも保存状態が良く、正確な年代は不明だが、明治から昭和初期の制作とみられる。
一緒に見つかった江戸期の制作と推測される高砂人形、館山市や君津、木更津市の愛好者が制作したつるしびなも展示される。
現当主で館長でもある小谷福哲さんは「旧家の中で、ひな祭りの雰囲気を感じてもらいたい」と来場を呼び掛けている。
入館料は一般200円、小中高100円。開館は土、日曜日だが、金曜日の3日は特別開館する。甘酒のサービスもあるという。
(房日新聞2017.3.15付)…⇒印刷用PDF
安房歴史文化研究会の今年度第6回(通算46回)の公開講座が、25日午後2時から、館山市コミュニティセンター2階集団指導室で開かれる。NPO法人安房文化遺産フォーラムの愛沢伸雄代表が「青木繁『海の幸』誕生と日露戦争の時代」のテーマで語る。資料代として200円。
日本を代表する洋画『海の幸』は、1904年(明治37)夏、小谷家に滞在した青木繁によって描かれた。早世の画家は河北倫明氏をはじめ、数多くの研究者によって世に出され、海の幸は国重要文化財となった。
この小谷家住宅の修復が、関係者や全国からの支援で進められ、青木繁「海の幸」記念館として開館。その経緯の中で、小谷家からは明治期の水産業などの人々の動きを知ることのできる貴重な資料が発見された。
愛沢代表は、発見された資料から、青木繁が訪れた布良の地や小谷家に関わる人々の姿、特に海軍望楼という軍事施設や帝国水難救助会布良救難所が設置され、軍事演習の地であった景勝地・布良の姿、日露戦争の真っただ中での漁民たちと若き画家たちとの交流や、布良沖のウラジオストク艦隊の動きによる危機的状況などに触れるという。なぜ40余日も小谷家に逗留(とうりゅう)し、絵画制作ができたのか。海の幸誕生を地域史の視点から考察するという。
問い合わせは、事務局の石崎和夫さん(0470-23-6677)へ