メディア報道

【房日】151230*小谷家活用のまちづくり、コラボ大賞

小谷家活用のまちづくり 館山の13団体

優良事例で「ちばコラボ大賞」

(房日新聞2014.12.30付)

青木繁が「海の幸」を描いた館山市布良の小谷家住宅を生かした漁村のまちづくりの取り組みが、優れた協働事例を表彰する「ちばコラボ大賞」(千葉県知事賞)を受賞した。

NPO、団体、行政などが力を合わせ、さまざまな地域課題の解決に取り組んでいる事例を表彰しており、今年度は3事例が選ばれた。

表彰されたのは、市指定文化財の小谷家住宅の修復、公開を目指し、全国の画家とともに修復基金を募ったり、保存用のふるさと納税制度を整備したりし、同住宅をはじめ周辺環境の整備、コミュニティー再生にも貢献している関連団体の取り組み。

実施団体は「NPO法人安房文化遺産フォーラム」、「青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会」など13団体。

小谷家修復の道筋をつけるとともに、活用によって地域の魅力を再発掘し、地域内外の人々の絆を深めていることが評価された。

【房日寄稿】140722*青木繁《海の幸》フォーラムへのお誘い

青木繁フォーラムへのお誘い

青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会

(房日新聞2014.7.22付)

今年は、画家・青木繁が房州布良を訪問し、《海の幸》を描いてから110年目にあたります。その節目に念願がかない、青木繁《海の幸》誕生の家・小谷家住宅(館山市指定文化財)の修復工事が始まることになりました。小さな漁村のまちづくり活動として10年の取り組みになりますが、この間、多くの皆様にご支援をいただいてきたことを心より御礼申し上げます。

まず、小谷家のご家族におかれましては、私有財産にもかかわらず「地域活性化と日本の美術振興に寄与できるなら、古い我が家をどうぞ使ってください」というご英断をしてくださいました。これから2年間の修復工事が終われば、平成28年春に築120年の母屋がよみがえって一般公開に供することになります。ご家族の住居は物置を増改築した小さな建物に移っていただき、たいへんなご不便をおかけいたします。改めて感謝と敬意を表するとともに、市民の皆様にも深くご理解いただきますようお願い申し上げます。

また、平成22年に発足したNPO法人青木繁「海の幸」会におかれましては、大村智理事長様をはじめ全国の著名な画家や美術関係の皆様が、小谷家住宅の修復基金のために力を尽くしてくださっています。東日本大震災で寄付が困難になりましたが、全国巡回で青木繁「海の幸」オマージュ展を開催し、売上の一部はチャリティ基金と納めてくださっています。オマージュとは尊敬を意味するフランス語だそうですが、青木繁《海の幸》誕生の聖地として小谷家住宅を後世にのこしたいと思ってくださることは、館山市民として本当に有難いことと感謝しております。3年目となる平成26年のオマージュ展は、銀座・京都・福岡・田園調布と並んで、たてやま渚の博物館と館山市コミュニティセンターを会場に館山展が開かれます。ご高名な先生方の作品が一堂に会するばかりでなく、伝統ある館山美術会の皆様が協賛される素晴らしい機会として、多くの皆様にご鑑賞いただけることを嬉しく思っています。

小谷家住宅の保存事業はまだ道半ばでございますが、館山市ふるさと納税(非課税となる寄付制度)や名画の購入を通じて、引き続きご支援を呼びかけているところです。日本を代表する青木繁《海の幸》の力を借りて館山の地域ブランドに磨きをかけて、子どもたちの未来に誇りを手渡せるよう、末永くお力添えいただけますよう重ねてお願い申し上げます。

【房日】140418*「海の幸」小谷家住宅、修復工事へ

「海の幸」描いた小谷家住宅 念願の修復工事着工へ 館山

保存活動で資金ねん出、工期2年 完成後に一般公開

(房日新聞2014.4.18)

近代日本美術史で最も著名な洋画家の一人、青木繁が代表作の「海の幸」を描いた館山市布良の小谷家住宅を当時の姿に復元し、一般公開するための工事がスタートする。小谷家と同住宅の保存活動を展開する2つの市民団体が15日、記者会見で明らかにした。工期は27年12月までで、翌28年4月に公開を始める計画という。

小谷家住宅は明治期に建てられた木造瓦ぶきの平屋。明治37年夏、東京美術学校(現東京芸術大学)を卒業して間もない青木が友人を伴い滞在し、海の幸を描いたことは広く知られている。

「小谷家なくして海の幸の誕生はなかった」として、小谷家の小谷福哲(ふくあき)さん、地元の呼びかけで発足した青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会、日本美術界の有志でつくるNPO法人青木繁「海の幸」会の3者が、保存・公開に向けた活動を展開。平成21年10月に同住宅は市の有形文化財に指定された。

同NPOの積極的な支援をはじめ、館山市が予算化した文化財修理補助金とふるさと納税を活用した支援基金の補助金により、全体事業費4602万円のうち2660万円のめどが立ったとして工事に着手する運びとなった。

記者会見で経緯を説明する小谷福哲さん(右)

工期は2年で、まずは現在も同住宅で生活する先代夫婦の転居先として、隣接する倉庫を増改築。その後、傷みの激しい屋根を解体して修復、昭和40年ごろに建て増した西側の台所や風呂などを撤去して、建築当時の姿に戻すという。

「目標額の半分のめどが立ち、修復工事に着手することになった。多くのみなさんから協力をいただき感謝したい。わが家を青木繁の『海の幸』誕生の家として後世に残せることを光栄に思う」と福哲さん。

保存する会の嶋田博信会長は「念願の工事が始まる。一般公開で全国から大勢の人が訪れ、布良がにぎやかになってくれれば」と、期待を膨らめる。海の幸会の吉岡友次郎事務局長は「まだまだ資金的には苦しいが、修復・公開に向け動き出してうれしい」などと話していた。

【写真説明】

①当時の姿に復元される小谷家住宅=館山

②記者会見で経緯を説明する小谷福哲さん(右)