安房の植生
●安房の植生
房総半島の森林植生をみると、ヒマラヤ南麓から東南アジア北部、中国南西部、さらには日本の九州・四国・紀伊半島の太平洋側に続いている照葉樹林帯(常緑広葉樹林)の東限にあたり、熱帯型森林(常緑広葉樹林など)と温帯型森林(落葉広葉樹林・常緑針葉樹林など)の移行域に位置しているといわれる。安房の場合は、コナラ・クリの落葉広葉樹林やスギ・ヒノキの常緑針葉樹林、なかでも暖帯林であるシイ・タブなどの常緑広葉樹林が海岸部にまとまって分布している。
南房総市(旧丸山町)の加茂遺跡は縄文時代の丸木舟が発掘されたことで有名であるが、その発掘の際の堆積物にモミ・カヤ・ナギなどの針葉樹や、マテバシイ・アカガシ・アラカシなどの常緑樹(照葉樹)、さらにクリ・コナラ・クヌギ・エノキなどの落葉広葉樹など多様な種類の植物化石が出土し、縄文時代における安房の森林植生の様子がわかる。